デンタルアドクロニクル 2017
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時代も雑誌も国民が求める歯科も、皆変わっていく 21世紀になって早くも17年目に突入した。以前は十年一昔といわれていたが、現在はどのくらいの感覚なのだろうか。それは、業界個々人によっても違うだろう。 手前味噌ではあるが、弊社のメイン3雑誌のキャッチコピーでも時代の変遷は垣間見える。たとえば2010年、3雑誌は自身の媒体をこう表現していた。 『ザ・クインテッセンス』は「歯科臨床家のための総合学術誌」、『QDT』は「歯科技工士・若き歯科医師のための補綴治療スキルアップジャーナル」、『歯科衛生士』は「臨床歯科衛生士のためのスキルアップジャーナル」。どれも技術・学術を念頭におき、そこに患者さんの存在はやや感じづらい。 それが2017年となると、たとえば『ザ・クインテッセンス』の「欠損主体の時代から“口腔を生涯守る時代”の歯科臨床総合誌」をはじめ、他の2誌からも“スキルアップジャーナル”との文言が消えた。知識・技術一辺倒の雑誌からの変遷がうかがえる。もちろん歯科医療において治療技術の向上の重要性は言うまでもない。しかし、それにプラスして、・患者さんの口腔を生涯守る・生き生きと臨床に携わる・歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士、そして多職種がいっそう連携すること――が求められている。国民とどうかかわっていくかはまさに至上命題なのだ。 現在、8020運動の達成率は40%を超え、国民運動として成果を挙げているなかで、オーラルフレイルが今後の焦点だ。オーラルフレイルとは医師である飯島勝矢氏(東京大学高齢社会総合研究機構教授)らが、メタボリックシンドローム(メタボ)のように国民に浸透してほしいという願いを込めて命名された言葉である。少子超高齢社会のいま、生涯にわたる健康へのかかわりが今ほど歯科に望まれていることはない。まさに歯科医療の新たな船出の時なのである。 米国のトランプ新政権は強い米国を目指すという。それも一理あるだろうが、一人勝ちは長くは続かないし、それは数々の史実が物語っている。歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士の先生方、歯科関連企業の方々、そして歯科の情報発信を行う出版社がWIN-WINの関係にならなければ歯科界は成り立たない。そして、歯科界の充実は必ず、国民の生涯にわたっての健康向上に役立つはずである。 このデンタルフリーマガジンがその一助になれば幸いです。4クインテッセンス出版株式会社 代表取締役社長北峯康充

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