デンタルアドクロニクル 2017
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80 特別座談会よい義歯をつくることは本望です。しかし、うっかり引っかかってしまうのはやはりpoorな義歯を目の前にしたときです。そのようなときこそすぐに義歯を作り直すのではなく、患者さんとよく話し合い、口腔機能の評価をする必要があると思っています。本間 機能評価、咀嚼、舌圧、口唇すべて本当に大事で、私たちは臨床の現場で義歯をセットした状態でその患者さんのメインテナンスに入ることになります。義歯で上手に噛むことにもっとお手伝いしなければいけなかったと、今、上田先生のお話を聞いて思いました。しばらく使っていなかった義歯を久しぶりに入れても、噛み方がヘタになっていることもあります。だから「噛めない、噛めない」という患者さんは、須貝先生もおっしゃるように義歯が合わないからではなくて、噛み方にもう少し工夫をしたり、足りない筋力を付けるということを私たちが診療所で行うべきなんですね。そういうことに気づかされました。診療所に来院される患者さんで、義歯を入れたばかりという場合は患者さんが義歯を使いこなせるようになるまでフォローしていく責任が歯科衛生士にもあると感じました。安田 上田先生から色々な検査をご紹介いただきましたが、義歯を製作するにあたって、どのような状態だとこの検査は必要なのかの目安はありますでしょうか?上田 10秒くらいの簡単な検査が多いですから、気になる点があればまずは行ってみるのがよいと思います。今後の課題としては、たとえば口唇閉鎖力がこれくらいであったら要注意とか、どのあたりが妥当かといった基準値をつくっていく必要はあると思います。現在、われわれのチームで調査・研究を行っていますので、近い時期に基準をお示しできると思います。安田 つづきまして、分類でいいますと「通院困難期」について須貝先生に解説いただきたいと思います。図6a~c 99歳、女性の口腔内写真。25歯残存である。abc図7a~f 私が28歳のときにはじめて担当した患者。私が58歳になった今でもつづけて来院されている。患者は51歳から81歳になられた。患者 81yd患者 81ye私 58yf患者 51ya患者 51yb私 28yc図8a~f 図7の患者は自分のような思いをさせたくないということで3歳のお孫さんも連れてきた。今20歳になり、健全な歯列に導くことができた。お孫さん 20ydお孫さん 20ye私 58yfお孫さん 3yaお孫さん 3yb私 41yc

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