デンタルアドクロニクル 2018
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巻頭特集2  2018年、歯科界大注目企業122のソフトウェアでは使用することはできませんでした(現在は使用可能)ので、このたびの合併によって、それらの互換性が少しずつ解決されていくものと期待しています(図4)。デジタルデータの互換性問題「オープンシステム」は今後の主流か――飯田先生が触れられたデジタルデータの互換性については、このたび、デンツプライシロナ社がデジタルデータを“オープン化”したことが話題となっています。オープンシステムに対するご意見と併せて、今後の主流は「オープンシステム」となっていくとお考えでしょうか。飯田:インプラントの分野においては元々、治療計画シミュレーション・Guided Surgeryに用いるシムプラントやCAD/CAMアバットメントであるアトランティスはいわゆる“オープンシステム”で主要なインプラントメーカーに対応がされていました。それに加え、近年では口腔内スキャナーのいわゆるSTLデータをオープン化したことにより、ユーザーにとっては選択肢の幅が広がることになるでしょうし、その流れは間違いないでしょう。 たとえば、インプラントのピックアップ印象・アナログ模型製作については、従来法では個人トレーの作成や印象操作が煩雑なうえに、収縮・膨張材料を取り扱いますので、熟練度の高い術者が行う必要がありました。しかし、デジタル印象とCBCTのDICOMデータをシムプラントソフト上で融合させるだけで、煩雑な作業から解放されるメリットは大きいですね。 ただし、点と点を結ぶ線からなるオープンフォーマットであるSTLデータに変換する場合、オリジナルCADのネイティブデータは、STL化するときに差異が生じてデータが劣化します。たとえば口腔内スキャンしたSTLデータを、CADでネイティブデータをオープン化して、STLフォーマットします。STLデータは、いったんネイティブデータからSTLにフォーマットして、ふたたびCADマシンのネイティブデータに戻すと、誤差が出てきます。ソフトウェアのアップデートは年々早くなってきていますので、各メーカーにおけるデジタルデータの互換性の誤差の解消についてはそこまで時間を要することはないかもしれませんが、オープンシステムを使用する際は、歯科医師と歯科技工士はその点について知っておく必要があると思います。 そういう意味では、ネイティブデータを劣化させないCERECシステムは、実はメリットがあるわけです。オープン化は喜ばしいことですが、単に便利にというだけで安易に飛びついてしまうと、その誤差の塊が積み重なっていくことになりますので、オープン化のメリット・デメリットを理解した上で選択するなどの注意が必要です。デジタルデンティストリーの進化の鍵――効果的なデジタルデータの連携・活用――これまではシリコン印象後にスタディモデルを作り、デンタルラボでスキャニングしてからCADデータに落とし込むというような流れで時間だけでなく手間もかかっていました。本当の意味でのデジタルデンティストリーとはいえないのではないでしょうか。飯田:そうですね。補綴装置の製作におけるデジタル化のメリットは、工程数の多さや手法の煩雑さを解消するためのものですが、印象採得やスタディモデル製作などにより生じる精度の誤差を軽減させる方法の1つとして口腔図4 デンツプライシロナソリューション対応の展開図。CT撮影クリニックDDSC-TokyoラボオーソフォスセレックACオムニカムシムプラントガリレオスインプラントシムプラントシムプラントガイドMCXLセレックガイド2ガイデッドサージェリーMCXLTiベース+クラウンアトランティスinLab MCX5各種クラウンinLab MCX5セレックガイド2inEOS X5デザイン確認印象採得ガイド作成埋入計画オペ補綴

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