デンタルアドクロニクル 2018
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71CROSS TALK Part 2Shaping the Future of Esthetics形成というのが初めて分かった。そうしてシステム面も扱う側もいろいろ進化してきて、今はクラウンであればアベレージで大体20μmぐらいの適合精度になりますからね。有川 素晴らしいですね。山﨑 特にオンレーは素晴らしい精度ですよ。これを、おそらく使い始めた当時の私のように“わかっていない”人たちが支台歯形成をしてCERECを使うと、「あれはマージンがどうの」という話になってしまう。本当に正しい支台歯形成をしていたら、かなりの適合精度になりますよ。 話はそれましたが、そういう意味でもこのブロックは汎用性が高いのではないかなと思います。そしてそうするためには、クラレノリタケデンタルとしてはデンツプライシロナと密な連携をしていかなければいけないということですよね。有川 本当にそうですね。デンツプライシロナとはグローバルパートナーシップの契約が進んでいまして、SpeedFireにもこのブロックの焼結プログラムがしっかり入ってきます。山﨑 強固にタッグを組んで、ぜひ汎用性を高めていただきたいですね。有川 それともうひとつ。われわれとしてはこのジルコニアブロック for CERECを、欧米でも非常にご好評いただいております接着性セメントのパナビアV5と一緒にアピールしていければと考えています。今まで歯科医師の方にはパナビアV5の名前は知っていただいていても、意外に補綴物のマテリアルは知られていなかったりするケースもあるのですが、今回この両方を使っていただいて、要するに補綴物製作から接着まで、トータルなシステムで提供していければと考えています。山﨑 パナビアV5というのは本当に評価されていて、性能をリサーチするときもパナビアV5と比較してどうなのかというコントロールの材料として選択されるくらい信頼性の高いマテリアルだという印象です。私も実際に使用して、欠点のないマテリアルだと感じています。その理由として、これはクラレノリタケデンタルからいただいたリサーチを見たときも感じたのですが、パナビアV5はすべての補綴物に対して接着強度が高いのですね。たとえば他のメーカーであれば、あるものには強いけれど、あるものには弱かったりする。でもパナビアV5は、すべてのマテリアルに対して接着強度がかなり高い。そこが凄いところだなと思いますね。隙がないマテリアルということですね。有川 ありがとうございます。われわれもしっかり頑張って参りますので。山﨑 今後ともぜひ頑張って下さい。使わせていただきたいと思います。アジア全体を引き上げたい有川 それではもうひとつお話をお伺いしたいと思います。山﨑先生が会長を務められておりましたSJCDが、日本臨床歯科医学会へと組織移行されました。学会としての今後の活動についてお話をいただければと思います。山﨑 本学会には2つの特長があります。ひとつ目は、グローバルスタンダードということで世界の各学会と手を結んでいきます。私自身も海外の各学会とさまざまなコネクションを作るために、ブルガリアに行ったり、スペインに行ったり、イタリアに行ったり、中国に行ったりと精力的に動いています。各国の学会と友好的な繋がりを作り、お互いに技術を研鑽したいと考えています。もうひとつは、学問的に垣根をすべて取り払う。いわゆるアカデミックフリー。学問の自由さを謳歌する素晴らしい学会にしたいと思います。 学会認定されたら、早急に指導医を作ったり認定医を作ったりということではなく、最初はハードルを高くして、本当に世界に冠たる学会にしたいと思っているのですよ。現在のSJCDの会員は2,000人を超えているのですが、そのメンバーを中心に今後の活動を行い、そして徐々に外部の血を入れていく。すぐに採算を取ろうということではなく、これまで内部で蓄積してきた知識や技術で海外と交流していきたいと思っています。 私は最近よくヨーロッパに行っているのですが、ヨーロッパにはまだまだ私どもが必要な国も多くありますし、あるいは私たちがヨーロッパの国々に学ぶことも多いのです。この前もイタリアで、クインテッセンス社のお世話になって著名な先生たちとの合同カンファレンスを行いましたし、また私たちの国際部が同じくブルガリアのソフィアという都市に行ってヨーロッパ最大のデンタルミーティングで交流したり、といった活動をしています。 また、ヨーロッパだけではなく、米国とも手を取っていこうと考えています。iACD(International Academy of Contemporary Dentistry)という、Dr. Preston D. Millerを初代会長とした素晴らしい会がありまして、私もニューヨークで1度講演したことがあるのですね。アジア人は英語が苦手な人が多く、たとえば論文を書いても、それを英語にすることができずに、なかなか世界に出ることができない。この会の凄いところは、日本語で論文を出しても、それがノミネートされれば学会で自動的に英文にしていただけるという点です。それによって、日本、中国、韓国、それから香港、台湾といった国々の素晴らしい先生たちが世界に認められるチャンスが大きく増えるということになるわけです。 実は、これからの私の最後の仕事は、アジア全体を引き上げていくことだと考えているのです。だからまだまだ頑張っていきたいと思いますので、今後ともご協力をよろしくお願い致します。有川 本日はありがとうございました。

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