デンタルアドクロニクル 2018
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 95周年企画 特別座談会80 図S-4の患者さんはフラビーガムが非常に著しく、ひどい下顎前突です。使用中の義歯は、前歯が当たって口蓋前方部に傷ができています。Ⅲ級傾向がひどいので、大臼歯部でしっかり噛ませないとどうしようもないと考えました。咬合調整が難しいので、Veracia SA Porcelainを使いました。さらに陶歯ならば咬合関係が長く維持できると考えました。削合がわずかでできるこの人工歯を使った理由です。松田 バウチャーの教科書には両側性平衡の有用性を示す表現として、「stores a potential retention(潜在的な維持を保つ)」と述べられています。つまり、転覆する量をできるだけ減らすことで維持を保つことができるという主旨だといえます。鈴木 義歯が回転運動するとき、せめて小臼歯は側方に触っていたほうがよいという気もしますし、あまり頬側間図S-1 咀嚼しているときは平衡側の接触が重要。*P<0.05A社Ace TeethBio─AceB社Veracia SA削合量削合量(mm3)6050403020100****29.133.911.46.94.2図S-3 市販の陶歯を使って、鈴木の推奨する咬合様式で削合させたときの削合量の比較。図S-2 鈴木が考えるフルバランスドオクルージョン様のリンガライズドオクルージョンと作業側頬側からみた側方運動時。側方運動時中心咬合位(タッピング時)ab図S-4 86歳、男性。 フラビーガムの症例。 陶歯「Veracia SA Porcelain」を使用して新義歯を製作。著しい下顎前突新義歯:あえて陶歯という選択

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