デンタルアドクロニクル 2019
141/180

139Hu-Friedy ペリオサージェリー インスツルメント知ることは、われわれの手術では非常に重要です。たとえばフラップの厚みが違えば、結合組織を必要とするかしないか、垂直減張切開を安心して行えるかどうかなど、大きな差が生まれます。フラップを翻転するだけでそこが大きくリセッションする場合もあります。術式選択とわれわれの治療ストラテジーを考えるうえでバイオタイプを知ることは非常に重要なのです。 ただし、こういった検査は簡便でなくてはいけません。高価な超音波デバイスを導入することは開業医には難しいけれど、ある程度客観的な結果は欲しい。そういったとき、三色の色の差でバイオタイプを測ることができるというのは非常に画期的だと思います。木林 中田先生がおっしゃったように診断のための器具として重要なのはもちろんですが、術後補綴に移行する際、インプラントのアバットメントマテリアルの選択に関しても活用することができます。Jung先生の論文1)で示されているように、歯肉の厚みによってアバットメントにチタンを使うかジルコニアを使うのかを判断する際にも助けになります。歯冠長延長術におけるチューズエステティックゲージロバート 次にニューヨーク大学のStephen Chu先生が開発された3種類のチューズエステティックゲージですが、こちらについてはいかがでしょうか。木林 まず「チューズエステティックゲージ プロポーション」ですが、これは短時間で的確に歯冠の長径と幅径の比率を判断するためのもので、よく考えられているインスツルメントだと思います。中切歯の長径が11mmに設定されており、これは日本人にも適応できる長さなので使いやすいのです。また、中切歯・側切歯の 縦横比は0.76~0.79に設定するのが一般的な基準であり3)、このゲージの各色帯はこの比率に準じています。 私はチェアサイドの手元に常に 置いて、診断でよく使います。患者 さんの口腔内を診査するときも縦横 比が適当か確認できますし、技工士さんが診断用ワックスアップを行うときにも参考になります。これは間違いなく利用価値の高いインスツルメントのひとつです。 次に「チューズエステティックゲージ サウンディング」。麻酔したうえで歯肉溝に骨に当たるまで差し込んで骨の位置を見つける、ボーンサウンディングを行うインスツルメントです。これは目盛りが1、3、5mmの位置についています。1mmというのは平均的な歯肉溝の深さです。その後、生物学的幅径の3mmの位置にも目盛りがある。これは骨削除が必要かどうかの判断基準になります。5mmというのは隣接面における歯槽骨頂から歯間乳頭頂までの長さです。 また、前歯部の歯冠長延長術を行う際には「チューズエステティックゲージ クラウンレングズニング」が重宝します。まず片側のクラウンレングスニングチップですが、これで唇側のゼニスの位置、そしてゼニスから骨頂の位置を測っています。中切歯で歯冠長を11mm(赤の図3a~c バイオタイププローブの使用例。3本のプローブの先端の透過度から、歯肉のバイオタイプを診断する。本症例のようにプローブ1(先端は白)のみ透過せず、プローブ2(先端は緑)、プローブ3(先端は青)が透過する場合、歯肉の厚みは中等度、バイオタイプはミディアムと診断できる。プローブ1から透過する場合はバイオタイプが薄い(thin biotype)、プローブ3のみ透過する場合はバイオタイプが厚い(thick biotype)と診断する。(参考文献2より引用)acb図4a~c 3種のチューズエステティックゲージ。(a)プロポーション、(b)クラウンレングズニング、(c)サウンディング。cba図5 チューズエステティックゲージ プロポーションの使用例。5

元のページ  ../index.html#141

このブックを見る