デンタルアドクロニクル 2019
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2019年の歯科界を と導く!!MTAとバイタル パルプ セラピー5直接 覆髄奥野月星先生の臨床経過でも、MTAは歯髄を温存(覆髄・断髄)する目的には極めて有効な材料ですか?月星消去法でいくとそうなります。日本では、「ビタペックス」(ネオ製薬工業)が同じ目的に使われてきたんです。露髄の直接覆髄には水酸化カルシウム製剤「ダイカル」(デンツプライ)などが使われてきました。 僕は、中位断髄・低位断髄のバイタルパルプセラピーでは出血のコントロールが難しいので「ビタペックス」を使ってきたんですけれども、まず失敗したことがないです。1年ぐらい経ってリエントリーすると、硬組織ができています。たとえば、アペキシフィケーションにしてもアペクソジェネシスにしても何も困ってなかったんです。 基本的にMTAでないと成功しないんじゃないんですよね。無菌的な状態を保つことができれば何の材料でもいい。じゃあ、今、無菌的に保つことができる材料って何があるのというと、「ダイカル」で長期間は無理でしょう。グラスアイオノマーセメントも長期間は難しいです。CRはシュリンク(収縮)が起こってもっと悪いです。 消去法でいくと、無機物質のMTAが、いちばんマイクロリーケージを防げるんです。いちばんいいのは、生体自身に封鎖をさせることなんです、いわゆるデンティンブリッジ。じゃあ厚いデンティンブリッジをつくるには何がいいかっていったら、実は刺激(たとえばpHが高い状態)が長く続いたほうがいいんです。 昨年秋の日本国際歯科大会のシンポジウムをはじめ、ずっと言い続けていることがあります。いかに細菌がいない状態をキープできるか。下野先生も同意していただけると思いますが、それさえ達成できれば、材料は何でもいいと僕は思うんです。 デンティンブリッジを厚くつくるんだったら刺激は長いほうがいい。だから、たとえばTrabinejad先生のファーストセットのMTAでは、硬組織(デンティンブリッジ)の量って薄いんですよ。ロングセットのほうが分厚いんですね。奥野私も以前から月星先生の講演や著書での、「ビタペックス」を使った良好な臨床結果をよく存じあげていましたので、MTAに全部移行する必要があるかどうかを伺いたかったんです。月星MTAを、魔法の薬であるとまでは考えていません。ただ、消去法で考えたとき、露髄した場合に何を使うかというと、MTAがやっぱり信頼できるということなんですよね。prole04茂久田篤日本歯科用品輸入協会 会長代表取締役社長41

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