デンタルアドクロニクル 2019
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2019年の歯科界を と導く!!6奥野自分の専門は有床義歯・高齢者ですので、ここについて議論をさせてください。月星さんの製品で何をお使いなんですか?奥野気に入っているのは、たとえば「ダイヤモンドつき抜歯鉗子」(マーチン社)【図1a~c】、粘膜印象やボーダーモールディングのシリコーン印象材「デタシール・ファンクション」(デタックス社)【図2a~c】。あとはすぐれたデンチャーの研磨剤「スピーディ・デンチャー・シャイン」(DVA社) 【図3a、b】などたくさんありまして、いつも愛用しています。根面う蝕奥野本日お2人の先生方にいちばんお伺いしたかった、今悩んでいることは根面う蝕なんです。 8020の達成率も50%に達するほど高まり、デンチャーの鈎歯に活用できる多数の歯が、高齢患者の口腔内に残るようになりました。ところが残せた歯に、あるときから急激に根面う蝕がガタガタ多発するような症例に直面しますと、どうしていけばいいのかと非常に悩まされます。下野日本では歯科医師が頑張って、歯を抜かないで長持ちするよう、保存にすごく時間もかけるし、丁寧に治療されていると思うんです。フルデンチャーの阿部二郎先生から伺うと、海外では、先進国であっても、お金がなかったら、すぐ抜いちゃう。日本では信じられないようなことが、海外ではいまだに行われているという。 それからみると、根面う蝕を丁寧に1つ1つ処置・充填するには大変な労力がかかります。高齢になると、本人がどんなに頑張っても口腔清掃の質が落ちていきますから、1か所治療すればもう安心というわけにいかない。歯肉が退縮しますから、充填箇所の下に、また新たな根面う蝕をつくっていく。奥野月星先生の最新の著書にも、先生の見立てで、「これは完全な治癒ではないが、歯周病はコントロールできている」という症例がありました。すごく印象的だったのは、歯周治療の成功後に、根面や根分岐部が露出してしまうと、歯周組織の安定は得られても、根分岐部と根面う蝕との闘いがまた始まるということです。 ですから、たとえば先生の30年間の治療経過を見ますと、患者さんも高齢化され、清掃スキルもだんだん悪くなっていく。でもメインテナンスでフォローアップしていけば、歯周組織にはいい結果が残せる一方で、やはり根面う蝕という悩みが尽きない。デンチャーは、鈎歯の状況が悪くなれば、設計変更が求められます。根面う蝕に図1a 「ダイヤモンドつき抜歯鉗子」(マーチン社、)を用いて、第一小臼歯の便宜抜歯を行う。図1b 歯頚部に隙間なくぴったりフィットするので、力が伝わりやすい。また、グリップ力も強力である。図1c 隣在歯に干渉することなく、スムーズな抜歯を行うことができた。→ COLLECTION 49ページ参照「高齢大国」に どう挑むのか?  ①「根面う蝕」との 闘いのはじまりと 「認知症」43

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