デンタルアドクロニクル 2019
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2019年の歯科界を と導く!!天然歯への 愛は勝つ! 9デンティストは 天然歯保存の 夢をみるか?茂久田去年のカナダでのAAP(米国歯周病学会)のように、最終的に抜歯・インプラントというゴールが定まっているかのような世界のペリオの潮流のなかで、月星先生がESE(ヨーロッパ歯内療法学会)の大ホールで講演されたときのことが強烈に思い出されます。 すべての症例に、会場からはゴッドハンド!とか、マジックだ!ミラクルだ!という聴衆の大きな声が響いて、わーっと大騒ぎになっていましたよ。講演終了後には、聴衆が名刺交換したいと、列をなしてごあいさつに来られて。歯を残すための手法や、先鞭者の実例について話を聞きたいドクターが、世界中のどこにでも、山のようにいらっしゃることが実感できました。 個人だけでなく、学会組織や大学運営部もそのご実績に敬服されて、先生のご招聘が来年も再来年もと続いたり、ご講演を聞いた別の大学からもご依頼を受けたりというふうに、日本の全GPの評価をグンと上げる一翼を先生が担ってらっしゃって、世界中の先生方が追われている夢を、実際に患者さんと一緒にかなえていらっしゃる。月星先生が実現されたこの夢を、どういうふうに世界に発信していったらいいのでしょうか?月星自分のことを言うのは恥ずかしいんですけれども、2週間前にロシアに行ってきたところなんです。そして2週間後にはブルガリアに行くんです。ともに移植とか、外傷の話の講演です。 それで感じたのは、天然歯はインプラントに勝つんです。外傷歯の治療というのは、歯髄も取らないし、かぶせない。まさにMI(minimal intervention)の歯科治療なんです。それに対して皆さんが拍手をくれます。自家歯牙移植なんかのケースも、期せずして途中で何度も、拍手が湧くんです。そういった経験は1回や2回じゃありません。先進国・後進国に反応の違いもなく、ロシアでも拍手が湧いた。インプラント重視のAAPがある米国においても、拍手が湧き起こるんです。 ということは、やっぱり天然歯を残すことに、世界の皆さんもすごく魅力を感じている。ただ、そこに予知性だとか、お金や収入を考えたときにどうしても、破折しなくてう蝕にならないインプラントが優先されちゃうんですよね。エンドしたら、破折の危険性は上がるし、リトリートメントの成功率もさらに低い、ということで後回しにするのが米国の非常に合理主義なところ。 でも「最後に、愛は勝つ」じゃないですけれども、本当に愛は勝つんですよ。天然歯に対する愛は勝つんです。茂久田現在のAAPなどの学会の流れも、月星先生のご講演で、ESEのようにがらっとひっくり返していただきたい。 先生にはやはり、大トリで学会全体のムードをぐんとグレードアップされるのがお似合いだと思います。月星グレードアップになるかどうかわかりませんが、歯科治療を考えなおすきっかけになればうれしく思います。茂久田応援します!下野過労に気をつけて!殿だけど。月星「殿(院長)」なのに「家老(過労)」 って(笑)。これをサゲにさせていただきましょう。おあとがよろしいようなので。55

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