デンタルアドクロニクル 2019
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63CROSS TALK Part 2山﨑 さまざまな面で改善されているのですね。私は1液性は本当に大丈夫なのかという気持ちがあってなかなか馴染めなかったのですが、今回の話を聞いてよく理解できました。有川 ありがとうございます。トップランナーとしての矜持を有川 それでは次に、山﨑先生からクラレ ノリタケ デンタルに今後期待することや、逆に苦言など、何かご意見をいただければと思います。山﨑 クラレ ノリタケ デンタルは歯科業界で技術を活かして活躍している企業であるからこそ、それだけの矜持を保って欲しいなという気持ちはあります。マーケットを混乱させるようなことはしないで欲しいということですね。 個別にいくと、先ほどボンディング材のお話をしましたが、私はクラレ ノリタケ デンタルのボンディング系やエッチング系の材料は使うのですが、意外とコンポジットは使っていないのですよね。本音を言わせて貰うと、最近ではコンポジットも非常に審美的な要求が強くなっている中で、それに本当にクラレ ノリタケ デンタルが対応できているかと言えば疑問があります。たとえば前歯などでも、以前であればクラウンやベニアで補綴していたものが、現在ではコンポジットで修復する人がだいぶ増えてきました。前歯のような高い審美性が要求されるケースでも使用されているということです。おそらく今後、そのようなコンポジットのマーケットはすごく広がると思うのですね。先ほどご説明いただいたように、接着という点では素晴らしいのですが、それに加えて審美的な要素も強化していただきたいと思っています。クラレ ノリタケ デンタルが得意としている接着技術や強度などの機能性は維持しつつ、そちらにも力を入れていただければ嬉しいなと思います。  セラミック製品に関しては、私自身が長く使っているということもあるのでしょうが、非常に安定した材料をマーケットにデリバリーしてくださっているし、長期的な信頼感もあってあまり疑問は感じていません。その中でひとつ挙げるならば、プロビジョナルレストレーションやテンポラリーで使用できるハイブリット系のCAD/CAM用マテリアルを増やしていただきたいですね。 これまでの技術に胡坐をかかないで、もう少し革新的なことにも挑戦していただきたいですね。有川 貴重なご意見、ありがとうございます。日本臨床歯科医学会は飛躍の年に!!有川 最後に、山﨑先生が会長を務めていらっしゃる日本歯科臨床医学会の2019年の展望についてお話しいただければと思います。山﨑 私は日本歯科臨床医学会ほどバラエティ豊かな組織はないと思っているのです。各分野にエキスパートの先生がいて、日本でもそして世界でも本当にトップランクだと思っています。 ただ、これまでは学校との関係が非常に甘かったのですよね。ですから正式な学会になるために必要な原著論文にかなり苦労していました。それがやっと良い感じになってきて、ひょっとしたら2019年中にも日本臨床歯科医学会が日本歯科医学会の下部組織に入れる見通しが立ってきました。下部組織に入った後は、これも非常にハードルが高いのですが、認定医や指導医の制度作りに入ります。そうして組織を作り上げていって、「ここに入会したら凄い」と世界中から思われるような学会にしたいと思っています。 そのためにはメーカーとの連携も重要になります。利益相反についての意見もあるかと思いますが、やはり新しいマテリアルの開発はメーカーと協力しないかぎりできないわけです。臨床データ、あるいは臨床経験のようなものを、メーカーとともにこの学会で積み上げていきたいといつも思っています。 いずれにしろ、2019年は大きく飛躍する年になるような気がしています。またご協力をお願いいたします。有川 ぜひご協力させていただければと思います。 本日はありがとうございました。

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