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摩耗

【読み】
まもう
【英語】
abrasion
【書籍】
歯科衛生士 2008年9月号
【ページ】
53

キーワード解説

 摩耗とは、外来性の物質あるいは成分が繰り返し口腔内に入り、歯と接触し、異常な機械的過程を通じて歯の硬組織が病的に摩滅することである。疫学的なデータとして、30歳以上の成人男女では20~30%の人に複数あるといわれている。生涯における摩耗による歯質の欠損量は、臼歯部では1年間で30~40μm(0.03~0.04mm)という報告もある。

 摩耗の原因は、「アブフラクション説」(abfraction theory)がもっとも支持されており、この他には歯磨剤の誤った使用やオーバーブラッシングなどもその要因として考えられている。なお、アブフラクションとは、下顎側方運動時に咬頭が接触するために歯頚部付近に引っ張り応力が強く生じ、エナメル質や象牙質に微細なクラックが生じるというもので、このエナメル質のクラックにともない、少しずつハイドロキシアパタイトが歯頚部より消失し、楔状に欠損が生じる。