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炎症性吸収

【読み】:えんしょうせいきゅうしゅう
【英語】:inflammatory resorption
【書籍】: シリーズ MIに基づく歯科臨床vol.04 自家歯牙移植 増補新版
【ページ】:29

キーワード解説:

炎症性吸収は、歯髄腔に感染がある歯で、なおかつ歯根膜が一部欠落した歯を再植、あるいは移植したときにみられる。そのメカニズムは、まず歯根膜の欠落部で破骨細胞の侵襲によりセメント質が吸収されることから始まる。セメント質が吸収されることにより象牙質が露出し、象牙細管が開放される。この象牙細管を通って歯髄腔より炎症起炎物質(細菌、細菌の産生物、壊死組織など)が歯根表面へ遊出する。この炎症起炎物質により炎症反応(免疫応答)が惹起され、生体の防御機構が作動する。破骨細胞は、骨芽細胞による誘導分化以外にも、生体の防御機構の一員として循環血液からも出現することが推定されており、この破骨細胞により歯の硬組織が吸収される。
 炎症性吸収の特徴は吸収窩に毛細血管に富んだ肉芽組織が存在し、同部がエックス線透過像を示すことである。臨床的には、移植・再植後 3 か月以内でエックス線写真で確認できる場合が多い。炎症性歯根吸収の速度は年齢にはあまり左右されず速いが、置換性吸収と異なり、炎症性吸収は発見が早ければ根管処置をすることにより停止させることができる