下顎骨骨折
- 【読み】
- かがくこつこっせつ
- 【英語】
- fracture of mandible
- 【書籍】
- アスリートも歯がいのち!
- 【ページ】
- 38
キーワード解説
下顎骨骨折は、顎口腔領域に激しい衝撃が加わった際に起きやすい外傷で、口腔外科を訪れるスポーツ関連の外傷ではもっとも多いといわれる。内出血や顔面の腫れ、変形、痛みのほか、特徴的な症状としては噛み合わせの異常、口の開閉の障害がある。
コンタクトスポーツにおいて下顎骨骨折が多くなる原因として指摘されているのが、下顎骨内の埋伏智歯の関与である。外胚葉由来の歯は中胚葉由来の顎骨とは発生学的にも異質でありまったく結合しないため、埋伏智歯は顎骨内に空洞があるのと同様の状況をもたらし、外力に対する顎骨の耐性を弱める。また、衝撃が加わった際に水平埋伏智歯が楔と同じ働きをすることにより顎骨骨折のリスクを高める。
下顎骨骨折は、一時的な摂食障害を引き起こし全身への影響も大きいため、コンタクトスポーツにおいては埋伏智歯の早期の抜歯が推奨されている。