変色歯
- 【読み】
- へんしょくし
- 【英語】
- discolored tooth
- 【書籍】
- 子どもの口と顎の異常・病変 歯と顎骨 編
- 【ページ】
- 22
キーワード解説
外傷により歯髄内出血から象牙細管内に血色素が侵入すると、ピンクや赤色に歯が変色し、歯髄壊死すると灰褐色を呈するようになる。しかし、変色したからといって必ずしも歯髄壊死というわけでなく、その一致率は60%未満といわれている。
乳歯や幼若永久歯の場合には、外傷などでいったん受傷歯が変色しても、数か月後に変色が消退することがある。受傷歯が黄色などの薄い変色で、膿瘍や打診などの臨床症状をともなわない場合に多くみられる。受傷歯をエックス線写真的に観察すると、内外歯根吸収をともなわない場合がほとんどで、歯髄腔狭窄が多くの症例でみられる。
変色の程度が強く、根尖部膿瘍を呈している場合は、変色が戻ることはほとんどない。
打撲で歯冠着色を主訴として来院したような症例の場合は、対応法としては、経過観察を第1選択とする。歯冠色が黒褐色を呈し、歯肉部に膿瘍が認められるような症例では、感染根管処置を行い、保存に努める。