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イグナッツ・ゼンメルワイス

【読み】
いぐなっつ・ぜんめるわいす
【英語】
Ignaz Semmelweis
【書籍】
歯科衛生士 2020年 4月号
【ページ】
46

キーワード解説

 イグナッツ・ゼンメルワイスは19世紀のハンガリー人の医師である。当時の出産では分娩時の産褥熱が深刻な問題となっていたが、予防不可能な病気とされていた。そんななか、1847年にゼンメルワイスは術前の手洗い、すなわち手指衛生を行うことで産褥熱の発症率が激減することを証明し、「医療従事者は手指衛生を徹底してから次の治療に臨むべきだ」と主張した。しかし、細菌感染の概念がないばかりか、病原菌の存在すら知られていない当時、それが受け入れられることはなかった。
 医師であり作家でもあるルイフェルディナン・セリーヌが「感染予防の天才であった」とゼンメルワイスを称賛したのは、彼の死後60年も経ってからであった。今日、ゼンメルワイスは「病院衛生と消毒の現代的理論の父」または「院内感染予防のパイオニア」と称されている。こうして、手指衛生はようやく医療従事者にとって院内感染対策の常識として受け入れられるようになった。