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ビタミンD欠乏症

【読み】
びたみんでぃーけつぼうしょう
【英語】
vitamin D insufficiency
【書籍】
nico 2020年 8月号
【ページ】
35-42

キーワード解説

 ビタミンD欠乏症は栄養障害の一種。体内のビタミンDが欠乏することによって、骨へのカルシウム沈着が障害され、小児ではくる病、成人では骨軟化症、骨粗しょう症の原因として広く知られてきた。
 ビタミンDは食物から得るほかに、日光に曝露することによって皮膚から生成されるが、皮膚がん予防や美容を目的とする紫外線対策が浸透するなか、ビタミンD欠乏症は世界的に増加傾向にあり、深刻な健康被害が懸念されている。
 日本国内で近年小児に激増しているエナメル質形成不全の原因も、ビタミンD欠乏症によるものではないかとの指摘がある。ビタミンD欠乏症の母胎から生まれ、その母乳で育つことにより乳歯・永久歯の成長が阻害され、エナメル質形成不全の原因となっているという説である。
 ビタミンD欠乏症の母親に育てられた乳幼児のくる病が増加しているとの報告が、小児科からも相次いでいることから、エナメル質形成不全の原因解明において、ビタミンD欠乏症説は現在もっとも有力視されており、最新の調査研究報告が待たれるところである。