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グリコカリックス

【読み】
ぐりこかりっくす
【英語】
glycocalyx
【書籍】
nico 2021年 4月号
【ページ】
36

キーワード解説

 細菌などの外皮を覆う、細菌細胞から産生される多糖体の粘着性物質(菌体外粘性多糖体)。細菌のエネルギー源であり、水不溶性グルカンのため唾液の抗菌作用や抗菌薬、抗生剤等から細菌を守ってコロニーの形成を可能にするバリア機能を持つ。グリコカリックスが歯などの固相表面に形成されたものがバイオフィルムである。
 グリコカリックスは、細菌の菌体外だけでなく菌体内にも保持される。たとえばミュータンス菌は、ショ糖からつくったグリコカリックスを菌体内にも蓄え、ショ糖の供給が途絶えると菌体内のグリコカリックスを消費して乳酸を出すため、これが夜間にう蝕が進行する原因となっていることが明らかになっている。
 また、血流に乗って口腔内のミュータンス菌などのレンサ球菌が体内に入ると、グリコカリックスを産生して血管内皮などに付着し、免疫力が衰えた高齢者などに重篤な感染症を引き起こすため、良好な口内環境の重要性が近年医科からも注目を浴びている。