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統合失調症

【読み】
とうごうしっちょうしょう
【英語】
schizophrenia
【書籍】
ザ・クインテッセンス 2021年5月号
【ページ】
168

キーワード解説

 統合失調症は、思春期・青年期に好発し、人口1,000名中7~8名にみられる精神障害であり、遺伝的要因と心理社会的ストレスの相互作用により発症する脳の機能障害とされる。神経伝達物質や遺伝子に関する多くの研究がなされ、その発症メカニズムが解明されつつある。その診断は、今のところ決定的な生物学的検査法はなく、精神症状と経過観察などを総合して精神科医が慎重に診断する。本症の精神科治療は外来での抗精神病薬療法が主体で、精神療法や社会復帰療法などが併用され、長い治療期間を要する。本症は精神状態の安定と悪化を繰り返しつつ慢性に経過する。精神状態が悪化する急性期では幻覚や妄想といった「陽性症状」が、精神症状がスッキリと改善しない慢性期では感情鈍麻や思考の貧困といった「陰性症状」や「抑うつ症状」がみられる。また、情報処理に障害が生じる「認知機能障害」は本症の経過全般にわたって持続する。