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嫌気性グラム陰性菌

【読み】
けんきせいぐらむいんせいきん
【英語】
gram-negative anaerobic bacteria
【書籍】
nico 2021年7月号
【ページ】
34

キーワード解説

 嫌気性グラム陰性菌とは、増殖するのに酸素を必要としない細菌。その代表格は歯周ポケットの奥に棲む歯周病菌である。嫌気性グラム陰性菌である歯周病菌は、菌体が外膜という薄い膜で包まれており、この外膜に「内毒素」と呼ばれる毒素が含まれている。内毒素はリポ多糖(LPS)でできており、外毒素と違って熱を加えても毒性を失わない。さらに、細菌が破壊されて小さくなっても内毒素は毒性を失うことなく、簡単に体内に侵入する。
 歯周病菌などの嫌気性グラム陰性菌がつくる内毒素は、歯ぐきで炎症を起こし、歯を支える顎の骨を溶かすだけでなく、身体のさまざまな細胞にキャッチされて炎症を起こし、発熱の原因になる。また、免疫細胞に内毒素が取り込まれると、免疫応答まで撹乱されてしまう。このようにして歯周病菌の内毒素は、目立たぬ方法でじわじわと健康破綻をもたらしていく。