BDA
- 【読み】
- びーでぃーえー
- 【英語】
- Bimetric Distalizing Arch
- 【書籍】
- 矯正歯科治療の基本と類似症例が必ず見つかる!ラーニングステージ別臨床例60
- 【ページ】
- 167
キーワード解説
BDAとは、上顎第一大臼歯の遠心移動を主目的とする装置であり、上顎第一大臼歯近心に設置されたスプリングが拡がる作用で遠心移動の矯正力が働く。反作用として上顎前歯が唇側へ動こうとする力に対しては、Ⅱ級ゴムを常時装着してもらうことにより、前歯に後方への力がかかり相殺される。Ⅱ級ゴムの垂直成分への対応として、上顎前歯へは挺出力がかかるので、もともと開咬傾向であれば、BDAの主線はフラットな形態で装着して前歯部被蓋を改善する方向へ導けるが、逆に過蓋咬合であれば被蓋が深くならないようにBDA の前方にオープンカーブを付与する。
また、Ⅱ級ゴムの作用で下顎第一大臼歯に対して挺出力と舌側傾斜の力がかかるので、リンガルアーチにて舌側傾斜を防止することが大切である。下顎第一大臼歯への挺出力に対してはもともと過蓋咬合であれば、容認することにより前歯部の被蓋が浅くなるので改善傾向へと導ける。Ⅱ級ゴムの使用は下顎の前方誘導の作用があり、上顎の前突傾向の改善にも役立つ。このように、BDA は各歯へのさまざまな作用が複合的に発生するので、初診時の歯列不正が改善する方向へ誘導する調整が必要になる。