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歯槽性突顎

【読み】
【英語】
alveolar prognathism
【書籍】
nico2021年11月号
【ページ】
31

キーワード解説

 歯槽性上顎前突と同意で、人類学、考古学の用語。ホモ・サピエンスにしばしばみられる顎骨の特徴であり、遺跡等から発掘される人骨の人種推定などに用いられる。歯槽性突顎の発現は人種による差異が大きく、白色人種ではたいへん稀であり、東南アジアでは多く見られる。
 国内の発掘調査によれば、日本人の歯槽性突顎は、鎌倉時代頃から特徴的に増加したとみられている。この傾向は近代まで続き、明治時代に来日した医学者、ベルツの論文には、日本人の約3分の1が歯槽性突顎であることが記されている。こうした歯槽性突顎の発現は昭和初期まで続き、昭和後期より急速に消失に向かったことが明らかにされているが、その理由はいまだ解明されていない。