矯正治療による歯根吸収
- 【読み】
- きょうせいちりょうによるしこんきゅうしゅう
- 【英語】
- root resorption by orthodontic treatment
- 【書籍】
- 臨床家のための矯正 YEARBOOK 2021
- 【ページ】
- 132
キーワード解説
歯根吸収は乳歯の生え変わり時期に起こる生理的なものと、炎症や外傷などが影響する病的なものに分けられる。歯に意図的に力を加える矯正治療もその原因のひとつとして挙げられ、多少の歯根吸収は避けられない。しかし、適正な矯正力により生じる小さな歯根吸収は、吸収がセメント質に限局しているため、すぐさま細胞性セメント質により修復される。そして、新しいセメント質層に歯根膜線維が取り込まれて歯は正常な機能を保つようになる。矯正治療上問題となるのは、歯の移動の際に歯根が海綿骨の溝を越えて皮質骨にあたり歯根吸収が生じ、その吸収が象牙質にまで及び移動される歯とその機能の安全性にとって有害とみなされる広範囲な歯根吸収である。