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ドライソケット

【読み】
どらいそけっと
【英語】
dry socket
【書籍】
肉芽の科学と臨床
【ページ】
63

キーワード解説

 歯根があった部分(埋伏智歯なら歯冠部分も含む)の骨面は、抜歯後には口腔内に露出している。もしそのまま露出させておくと骨面はすぐに乾燥し、感染しやすく骨炎を起こす。さらに感染をきっかけに炎症の範囲が拡大して骨髄に及ぶと「骨髄炎」になる。これを「ドライソケット」(乾燥抜歯窩)という。ドライソケットは、抜歯窩内の凝血が脱落または融解・消失して肉芽組織の増殖が起こらず、抜歯窩壁の骨が露出して乾燥してみえる状態である。
 ほとんどのケースで、抜歯後、ドライソケットにはならない。なぜなら抜歯窩壁と辺縁歯肉からの出血で抜歯窩内には血液が充満するからである。術後の圧迫止血にて血液は凝固して血餅となり、抜歯窩壁の骨面は外界から遮断される。すなわち血餅で骨面は保護されている。さらに抜歯窩壁には歯根膜の一部が残存しており、ここから増殖する「骨肉芽」が、抜歯窩内の血餅を速やかに器質化するため、通常は順調に治癒するのである。