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ヘルペスウイルス

【読み】
【英語】
herpes virus
【書籍】
nico 2022年6月号
【ページ】
34

キーワード解説

 ヘルペスウイルスは、細胞に核を持つほとんどの真核生物に存在するウイルスで、その数は100種に及ぶといわれる。ヒトに感染するものとしては8種のヘルペスウイルスがあるが、なかでもよく知られているのが、感染後にいったん治癒しても再活性化し回帰発症を引き起こす「単純ヘルペスウイルス」、「水痘・帯状疱疹ウイルス」である。口や手を介した接触感染が主たる感染経路となる。
 単純ヘルペスウイルスは、初感染時には多くの場合無症状であるが、ときに高熱、口唇・口内などにアフタ状の水疱をつくる。水疱の治癒後もウイルスは細胞にとどまり、宿主の抵抗力が低下した際に小水疱をつくるほか、ときには顔面神経麻痺や脳炎などの重篤な症状を引き起こす。
 水痘・帯状疱疹ウイルスも、初感染時に水痘を発症させる。このウイルスも水痘の治癒後に神経節の細胞に潜伏し続け、宿主の抵抗力が低下すると帯状疱疹を回帰発症させる。また、知覚麻痺や脳炎などの重篤な症状を起こすこともある。