ヒトの歯の性的二型
- 【読み】
- ひとのはのせいてきにけい
- 【英語】
- sexual dimorphism of human tooth
- 【書籍】
- nico 2022年9月号
- 【ページ】
- 47
キーワード解説
性的二型とは、生物の性別による違いを指す言葉。生殖器以外の差異に用いられ、たとえば体格の大小、角の有無、羽の色の違いなどがそれにあたる。ヒトの歯にも性的二型がみられ、もっとも有意な差異が見られるのが犬歯である。
性差百分率(男性の歯の歯冠近遠心径の平均値から女性の歯冠近遠心径の平均値を引き、その差を女性の平均値で割ったもの)で集団別に比較すると、ヨーロッパ系白人では男性の犬歯は女性のそれより7%ほど大きい。また、日本人やオーストラリア先住民の犬歯では、4%ほど大きい。
こうした歯の性的二型は、単雄群と複雄群の霊長類で非常に顕著であり、性差百分率は40%にも及ぶ。一方、家族群を構成する霊長類(ヒトを含む)では、歯の性的二型はそれほど目立たない。とくにヒトの歯の性的二型は、類人猿からの進化の過程で差異が減少したと考えられている。