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酸解離定数

【読み】
さんかいりていすう
【英語】
acidity constant
【書籍】
nico 2022年11月号
【ページ】
35

キーワード解説

 酸解離定数とは、酸の強さを定量的にあらわす指標のこと。酸から水素イオンが放出される解離反応が数値で示され、単位はpKaが用いられる。
 酸はその種類ごとに酸解離定数が異なり、したがってそれぞれ異なる酸蝕能をもつ。そのため歯の酸蝕症を防ぐには、胃液や酸性飲食物等のpH値のほかに、酸の種類とその酸解離定数にも注目する必要がある。
 酸解離定数は、数値が低いほど酸蝕能が強い。具体的には、塩酸2.1 pKa>リン酸2.2 pKa>クエン酸3.1 pKa>乳酸3.9 pKa>酢酸4.8pKa>炭酸pKa6.4となっている。酸解離定数の数値が1低いと、酸蝕能は10倍となる。
 胃酸に含まれる塩酸は非常に酸蝕能が強く、歯へのダメージは大きい。また飲食物(柑橘類等)に多く含まれるクエン酸も酸蝕能が強く、習慣的に摂取をすることによって、酸蝕症のリスクが高まるため注意が必要である。一方、炭酸の酸解離定数は高く、酸蝕能は低い。このことから、炭酸水(無糖、ノンフレイバー)による酸蝕症のリスクは非常に低いとされている。