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糖尿病

【読み】
とうにょうびょう
【書籍】
超速でわかる 有病者にやっていい治療,だめな治療
【ページ】
58

キーワード解説

 糖尿病は、糖をエネルギーに変換するインスリンが十分に働かないために血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気である。血糖の濃度(血糖値)が高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や失明、腎不全、足の切断といったより重い病気に繋がる可能性がある。成因は1 型糖尿病と2 型糖尿病に大きく分類され、 1 型はインスリン分泌が少ない、あるいはなくなることによって起こる。一方、 2 型糖尿病は遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより、血糖値の調整ができない状態で起こる。その他の糖尿病としてステロイド服用や妊娠中にも同様の病態となることがある。
 糖尿病の歯科治療への影響は、一般的にコントロールが悪いと、傷口が治りにくく、術後感染や毛細血管の微弱化、破綻による異常出血を併発しやすいことがよく知られている。またステロイドの長期服用によるステロイド糖尿病は、易感染性の長期化により顎骨壊死(ARONJ)の発症リスクも高くなる。歯科治療(う蝕や歯周疾患の急性化、不適合義歯など)によって食事をとることが難しい場合や、炎症が強い場合などは、血糖値が大きく上下に変動し、低血糖、sick day(体調の悪い日。糖尿病患者が感染症にかかり、発熱、下痢、嘔吐など食欲不振となり、 血糖コントロールが不安定(低血糖)になる状態)を起こしてしまう危険がある。とくに、インスリン製剤を使用している患者は注意が必要。現在の糖尿病の状態(合併症の有無)や薬の使用方法や体調管理などを内科主治医に相談できるように、治療開始前に十分に医療面接を行うとともに、医療連携体制を整えておくことがポイントである。