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顎関節脱臼

【読み】
がくかんせつだっきゅう
【英語】
temporomandibular joint(TMJ) luxation
【書籍】
口腔外科YEARBOOK 一般臨床家,口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル’23
【ページ】
114

キーワード解説

 顎関節脱臼とは、関節の運動支点となる下顎頭が正常な可動域を越えて関節から外れることで、口が閉じられなくなる症状である。急性脱臼、習慣性脱臼、陳旧性脱臼に分類され、頻度はそれぞれ50%、45%、5%とされる(柴田ら、2016)。急性脱臼に対しては、徒手整復と運動抑制包帯の併用による非観血的整復法で、多くの患者が制御可能である。ただし、整復に抵抗する難治例、とくに骨萎縮症例では、過剰圧を下顎に与えることにより骨折を惹起する可能性を念頭におく必要がある。整復後には、一部の患者で脱臼を繰り返す習慣性に移行するが、その反復程度は多様であり、患者の苦痛や希望に応じて対応する必要がある。習慣性脱臼の対処法としては、自己血注入療法の応用などの保存的対応が行われるが、制御困難例には観血的再脱臼防止術が適用される。また陳旧性脱臼に対しては、主に観血的整復術で対応するが、症例によっては整復獲得後に併せて再脱臼防止のための運動抑制手術が追加されることがある。