さる5月20日（日）、東京医科歯科大学（東京都、以下、医歯大）において、医歯大歯科同窓会・学術部主催（浅野正樹会長）によるDr臨床セミナーが、講師に同大卒で同大大学院インプラント・口腔再生医学分野の春日井昇平氏、宗像源博氏を迎え、「Successful Implant Treatment―大学病院のインプラント科に聞こう―」をテーマに開催された。 　

　まず午前は、宗像氏より、同大学歯学部附属病院インプラント外来の新規来院患者数の推移データが提示され、患者が年々増加する一方で、他院からの転院患者の占める割合も増加していることを指摘。その転院理由として、インプラント周囲炎などの生物学的トラブルをはじめ、神経損傷による麻痺などの外科的トラブル、補綴的トラブルが多数を占めるなか、とくに最近では舌痛症、非定型歯痛、咬合異常感、口腔異常感といった術後の不定愁訴を抱えて来院する患者が増えていると強調し、注意を喚起した。そのほか、インプラント周囲炎への対応、サイナスリフトの問題点と課題などについて示唆に富んだ講演がなされた。

　午後はカンファレンス形式で、セミナー受講者と講師陣による症例検討が行われ、活発な議論が交わされた。最後に春日井氏より、当インプラント外来に転院される多くの患者を診るなかで感じることとして、他院でインプラント治療後に問題が生じた際、倫理的に適切な対応がなされていない例がきわめて多いことなどを指摘。インプラント治療で万が一問題が生じた際は、患者に正直に報告し、すばやい対応が必須であると強調した。