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2012年7月15日

深井保健科学研究所第11回コロキウム開催

「「開かれた社会」における口腔保健・健康増進の展開」をテーマに

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 さる7月15日(日)、東京国際フォーラムにおいて、深井保健科学研究所(深井穫博所長)第11回コロキウムが「"開かれた社会"における口腔保健・健康増進の展開」をテーマに開催され、80名が参集し盛会となった。

 当日は多くの演者により最新トピックスの提供やシンポジウムが催され、活発な議論が交わされた。最後に、深井氏よりコロキウム2012提言「歯の喪失防止と健康増進」が発表された。以下に原文を示す。

 口腔の健康は、全身の健康増進およびQOLの向上に不可欠な要素であり、その取り組みは、歯科医療関係者ばかりでなく、医療、健康、教育など関連する他職種との連携によってその効果および効率性は高まる。その際、口腔の健康度のoutcomeとして、口腔機能にとどまらず、全身の健康への影響度で評価するための指標設定に関する研究を推進する必要がある。このような観点から、以下の提言を行う。
1.口腔の健康は、NCDs(non-communicable diseases)のリスク低減に寄与するという科学的根拠の蓄積、および口腔保健とNCDsの共通リスクへのアプローチの具体的取り組みを促進する。
2.歯の喪失は、口腔機能の低下の直接的な原因にとどまらず、全身の健康増進を阻害する要因である。歯を保存する医療技術の進歩と共に、「歯の喪失(tooth loss)または現在歯数(tooth number)」を他分野の専門職および国民レベルで共有できる健康指標のひとつとなるための研究の促進を図る。
3.歯の喪失の要因(リスクファクター)を特定するための研究を推進する。すなわち、口腔保健関連要因(口腔疾患、咬合状態、全身の健康、加齢的変化等)およびの社会的決定要因(social capital、保健医療制度等)に関する科学的根拠の蓄積を図る。
4.歯の喪失防止に関して、地域保健と歯科医療を一体的に提供する社会システムの追究を図る。そして、医療を含むより効果的な口腔保健提供体制を構築していくための働きかけを行う

 超高齢社会の現在、歯の喪失防止におけるリスクファクターへのアプローチが重要であり、その体制づくりが急務であるといえる。今後の展開に期待したい。