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2012年10月19日

第57回日本口腔外科学会総会・学術大会が盛大に開催

3,400名を超える参加者で会場は熱気あふれる

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 さる10月19日(金)から21日(日)の3日間、パシフィコ横浜会議センター(神奈川県)にて、第57回公益社団法人日本口腔外科学会総会・学術大会(木村博人大会長、福田仁一理事長)が、「サイエンスとアートの継承と発展」のテーマのもと、シンポジウム4題、日韓台3学会合同セッション、口腔三学会合同シンポジウム、特別講演、海外からの招聘講演、教育講演2題、大会長指名講演、ワークショップ3題、ミニレクチャー21題、ビデオレクチャー13題、一般口演、ポスター発表など、多彩なプログラムのもと、盛大に開催された。

 「特別講演 がんペプチドワクチンの開発と臨床応用」(中村祐輔氏・シカゴ大教授、東大医科学研究所)で中村氏は、研究・開発に取り組むワクチンを用いてがん細胞だけを特異的に攻撃するリンパ球を増やす免疫療法について、その臨床的な有効性や安全性等を紹介。免疫療法は、がんに対する治療法として主流の外科療法、放射線療法、薬物療法に加え、より副作用が少なく、高い治療効果が期待できる第4の治療法として、米国ではすでに現場医療への導入を目前にした、どうすれば最大限の免疫活性を引き出すための効果が得られるかを議論する段階にあると解説。日本でも約60の医療機関と連携して検証を行い、成果をあげていると語り、現場医療への導入に向けて進展していることを強調した。

 「シンポジウム1 歯・歯周組織・骨の再生医療」(座長:里村一人氏・鶴見大教授、柴田敏之氏・岐阜大教授)では、iPS細胞からエナメル芽を誘導する手法やiPS細胞の作成における乳歯歯髄の応用への期待を述べた「iPS細胞からの歯関連細胞の誘導」(福本 敏氏・東北大教授)、歯根膜組織内の多分化能を有する細胞集団に着目し細胞シート工学に応用した「自己培養歯根膜細胞シートを用いた歯周組織の再建」(岩田隆紀氏・東京女子医大先端生命医科学研究所)、骨髄由来の体性幹細胞を用いた歯槽骨再生治療の臨床研究の成果を踏まえた「骨再生医療の現状と展望について」(各務秀明氏・松歯大教授)の講演が行われ、タイムリーなテーマである再生医療の歯科における取り組みが紹介され、注目を集めた。

 「シンポジウム3 顎骨再建と口腔インプラントによる口腔顎顔面の機能回復」(座長:高橋 哲氏・東北大教授、河奈裕正氏・慶応大准教授)は、本年4月より広範囲顎骨支持型装置および広範囲顎骨支持型補綴として保険導入されたことを受けて開催。保険導入にともなう制度上の問題点や今後への期待を述べた「顎骨再建インプラント治療の保険適応の意義」(後藤昌昭氏・佐賀大教授)、多数の症例写真を交えて顎骨再建等の実際を紹介し高い関心が寄せられた「自家骨移植とインプラントによる口腔機能回復」(関根浄治氏・島根大教授)、「仮骨延長とインプラントによる機能回復」(高橋 哲氏・東北大教授)、Computer-aided-design(CAD)/Rapid prototyping(RP)技術を応用し患者それぞれに適合したデバイス製作法を紹介した「テーラーメード型チタンデバイスによる顎骨再建」(住田知樹氏・愛媛大講師)の各テーマで講演され、口腔機能再建治療の現状と将来展望について学ぶことができる絶好の機会となった。

 会員・非会員の歯科医師・医師のほか、口腔外科関連医療従事者、一般市民および海外からの参加者を含めて3,400名を超える多数の参加者が集い、各講演やポスター発表の席では多くの質問が寄せられ、議論が交わされるなど、熱気にあふれた3日間であった。なお、次回第58回大会は、2013年10月11から13日にかけて、福岡国際会議場・マリンメッセ福岡(福岡県)にて開催予定である。