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2013年6月27日

日本歯科保存学会2013年度春季学術大会(第138回)開催

「未来をつなぐ歯の保存治療―『再生治療』と『痛みの制御』」をテーマに

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 さる6月27日(木)、28日(金)の両日、福岡国際会議場(福岡県)において、日本歯科保存学会2013年度春季学術大会(第138回)(阿南壽大会長、千田 彰理事長)が「未来をつなぐ歯の保存治療―『再生治療』と『痛みの制御』」をテーマに開催された。

 本大会では2日間を通じ、シンポジウム、認定研修会、研究発表(口演、ポスター)などが行われた。

 初日のシンポジウム1「若手研究者が描くPulp Wound Healing & Regeneration」は、近年、歯内療法の世界でのトピックの1つとなっている歯髄の創傷治癒・再生に関する研究を5名の演者が報告した。また、特別講演1には船越栄次氏(福岡県開業)が「歯周組織およびインプラントサイトの再生療法について」と題して登壇。1980年代から現在までの歯周治療の変遷を、その時々における自身の臨床とともに解説し、とくにGTR法、生物学的再生療法(EMD法)に対する術式・治療結果を豊富な長期経過症例をもとに考察した。

 2日目は、豊福 明氏(医歯大)が特別講演2「治らない歯痛とどう闘うか?―歯科心身医学の立場から―」と題して登壇。歯科的に異常がみられないが、口腔内の痛みや違和感を訴えるいわゆる「心因性」の患者に対する対処法、またこのような症状を呈する患者の脳機能画像研究から得られた最新の知見を述べた。

 シンポジウム2「『痛みの制御』と『再生医療』を日々の臨床と研究のなかでどのようにとらえていくのか」では、「講演1:歯痛の見直し」と題して和嶋浩一氏(慶応義塾大)が、「講演2:歯髄幹細胞を用いた再生医療の現状と課題」と題して川島伸之氏(医歯大)が、「講演3:自己培養歯根膜細胞シートを用いた歯周組織の再建」と題して岩田隆紀氏(東京女子医科大)がそれぞれ登壇。和嶋氏は、歯の痛みのうち7割を筋・筋膜性疼痛と神経障害性疼痛が占めること、抜髄治療後に神経線維の損傷や炎症により疼痛が起こること、象牙質知覚過敏の原因が象牙細管の開口だけでなく、歯ぎしり・食いしばりなどの力により起こる歯髄組織の虚血・再環流障害による炎症であること、を示して注目を集めた。

 なお、次回の第139回となる日本歯科保存学会2013年度秋季学術大会は、宮崎真至氏(日大)の大会長のもと、秋田県総合生活文化会館(秋田県)を会場に、きたる10月17日(木)、18日(金)の日程で開催予定。