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2014年8月10日

深井保健科学研究所第13回コロキウム開催

「口腔保健におけるライフコースアプローチ」をテーマに

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 さる8月10日(日)、東京国際フォーラムにて、深井保健科学研究所(深井穫博所長)による第13回コロキウムが「口腔保健におけるライフコースアプローチ」をテーマに開催され、盛会となった。

 当日は、深井氏(埼玉県開業)による主旨説明の後、9名の演者からヘルスサイエンス・ヘルスケア最新トピックスが提供された。つづいて、シンポジウム「口腔保健におけるライフコースアプローチ」が行われ、相田 潤氏(東北大准教授)、神原正樹氏(大歯大教授)、伊藤博夫氏(徳島大教授)、安藤雄一氏(国立保健医療科学院)、花田信弘氏(鶴見大教授)がそれぞれ登壇し、活発な議論が繰り広げられた。以下に、深井氏より発表されたコロキウム2014提言「口腔保健におけるライフコースアプローチ」の原文を示す。

 口腔疾患と生活習慣病(NCDs: Non-communicable diseases)はいずれも、個人の生活習慣・行動、環境、および社会経済的要因に影響される疾患である。これらの予防可能な疾患に対する成人期の健康政策は、長寿社会における持続可能な社会保障制度を維持するための主要な健康課題の一つとなっている。ライフコースアプローチは、成人期以降の生活習慣病を、胎児期・小児期からの長期間にわたるリスクの蓄積や連鎖によってその発症を説明し、その対処を図るアプローチであり、科学的根拠も示されるようになってきた。口腔疾患は、これまでライフステージ別に、目標と評価を行うことで成果を上げてきたが、NCDsとの共通リスクファクターへの対応をより効果的に行うという観点から下記の提言を行う。
1.口腔保健におけるライフステージ別対応に加えて、ライフコースアプローチに基づく具体的取り組みを促進する。
2.胎児・乳幼児期および小児期からのリスク因子と口腔疾患が、成人期以降の口腔の健康に対する影響を明らかにし、ライフコースを通じた口腔疾患のリスクモデルを確立するための研究を促進する。
3.口腔疾患およびNCDsの発症機序並びに関連因子を、aging等の生物学的要因と社会的決定要因を統合して解明するためのライフコース疫学研究を促進し、その科学的根拠の蓄積を図る。
4.効果的で効率的な疾病予防の観点から、口腔疾患およびNCDsの共通リスクファクターに対して、ライフコースアプローチを通して、より早期から多職種が相互に取り組むための社会保健システムの構築を追究する。

 歯科で従来より実施されてきたライフステージ別対応に加え、このライフコースアプローチの概念をどう組み込んでいくか、今後の展開が期待される。