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2014年10月17日

第59回日本口腔外科学会総会・学術大会が盛大に開催

「クォ・ヴァディス口腔外科」をテーマに

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 さる10月17日(金)から19日(日)の3日間、幕張メッセ(千葉県)にて、第59回公益社団法人日本口腔外科学会総会・学術大会(後藤昌昭大会長、栗田賢一理事長)が、「クォ・ヴァディス口腔外科(※クォ・ヴァディス:何処へ)」のテーマのもと、シンポジウム8題、日本口腔外科学会80周年記念講演、アジアセッション3題、口腔三学会合同シンポジウム、特別講演2題、海外からの招聘講演、教育講演、ミニレクチャー37題、ビデオレクチャー16題、一般口演、ポスター発表など、多彩なプログラムにて開催された。

 日本口腔外科学会80周年記念講演「わが国のがん対策の現状と今後の展望」(門田守人氏:がん研究会有明病院)において氏は、1981年以来、日本の死亡原因の1位にあり続けるがんについて、がん医療の推進、技術的進歩、がん対策の歩みなどを紹介。現在も死因1位は変わらないものの、死亡者数の減少や5年生存率の向上など、その成果は現れていると解説。今後は、社会全体でがん対策を推進することが重要と強調し、そのなかで専門家は従来からの局所的な技術重視の「虫の目」に偏らず、全体を俯瞰的にみる「鳥の目」、時代の潮流を読む「魚の目」の3つの目をバランスよくもって、その力を発揮することが大事と述べた。

 本年4月の診療報酬改定で歯科用CTと手術用顕微鏡を用いた歯根端切除術の保険導入を受けて開催された「シンポジウム 歯根端切除術 Up-to-date」(座長:古郷幹彦阪大教授)では、歯内療法医の立場から、拡大視野による治療の有効性の解説と動画を交えてその実際を供覧した「マイクロエンドサージェリーの理論と臨床」(木ノ本喜史氏:大阪府開業)、3歯以上に及ぶ歯根囊胞の治療にマイクロサージェリーとEr.YAGレーザー照射により良好な成績を収めていることを紹介した「広範囲(3 歯以上)に進展した歯根囊胞に対する顕微鏡視下歯根尖切除術の適応」(小川 将氏:群馬大助教)、ケイ酸カルシウム等を主成分とするMTAの有効性や将来に向けた材料開発の方向性について述べた「理想的な逆根管充填材とは?」(今里 聡氏:阪大教授)の講演が行われ、多くの聴講者のもと、口腔外科関係者の関心の高さがうかがわれた。

 「シンポジウム インプラント治療の過去、現在そして未来」(座長:高森 等日歯大教授)では、口腔癌による上顎・下顎切除後のインプラントを用いた再建において、咀嚼機能、咬合力、会話機能の改善が認められた結果等を報告した「口腔癌治療後のインプラント治療について」(福田雅幸氏:秋田大教授)、適切な応用により10年、20年以上にわたり患者に恩恵をもたらすはずのインプラント治療について、目先の成果にとらわれることへの警鐘を鳴らし、遠い将来を見据え、生体組織に対し丁寧に扱うという医療者側のあるべき姿勢を問うた「インプラント修復における責任の所在」(小宮山彌太郎氏:東京都開業)の講演が行われ、インプラント治療の今後の方向性を考えるうえでのよい契機となった。

 約3,500名もの参加者を集めた本学術集会は、各セッション会場においても質疑応答などが繰り広げられ、熱気にあふれた3日間であった。

 なお、次回第60回大会は、2015年10月16~18日、名古屋国際会議場(愛知県)にて開催予定である。