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2015年3月21日

弘岡秀明ペリオコース20周年記念講演会

歯周治療・インプラント周囲炎治療の最前線が語りつくされた濃密な2日間

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 さる3月21日(土)、22日(日)の両日、株式会社ヨシダ(東京都)にて、弘岡秀明ペリオコース20周年記念講演会(Journal Club主催)「歯科医師と歯科衛生士のためのペリオ講座―スカンジナビアンアプローチの実際―」が、Ingemar Abrahamsson氏、Kajsa Abrahamsson氏夫妻を招待演者に迎え、盛大に開催された。

 両氏の講演に先立ち、まずは弘岡秀明氏(東京都開業)が登壇。自身がスウェーデンで学び、日本に帰国後20年にわたり教示してきた歯周病学の足跡を語るとともに、Ingemar Abrahamsson氏を始めとしたイエテボリ大学の名だたる研究者の功績、彼らとの交流の歴史を振り返った。

 以降、2日間にわたり、歯周治療、インプラント周囲病変への治療を中心テーマに、教育的かつ示唆に富んだ講演が展開された。

 Ingemar Abrahamsson氏(イエテボリ大歯周病科准教授・大学院主任)は、冒頭で歯周組織とインプラント周囲組織の解剖学的な差異を確認した後、1日目は歯周疾患に言及し、概念・定義、リスクファクター、初期のアプローチについて解説した。また、超音波器具を用いてフルマウスのSRPを一度で行う治療法を紹介し、条件次第では非常に有効である旨を強調した。2日目はインプラント周囲病変をテーマに講演。数々の最新研究を提示ながら、初日同様その概念・定義やリスクファクターについて解説した。さらにはインプラントの表面性状やデザインとインプラント周囲病変の罹患率・治療成功率の関連性に言及した。

 歯科衛生士でもあるKajsa Abrahamsson氏(イエテボリ大歯周病科准教授・歯科衛生士課程主任)は2日間を通じ、いまだ研究が草創期にある歯周病学への心理的介入について講演。残存歯数とQOLの関係、重度歯周炎・インプラント周囲炎と診断された患者の心理などについて、専門的なインタビュー法で聴取したデータなどを紹介しながら詳説し、患者に自己決定させること、医療者と患者との信頼関係を構築することの重要性を説いた。

 質疑応答時には両氏に対して多岐にわたる質問がなされ、終始盛況だった本講演会をさらに盛り立てた。また、口腔衛生が浸透したスウェーデンですらインプラント周囲病変への罹患率、および治療成功率に関しては大きな課題が残されていることも確認され、終了後も聴講者どうしが会場に残り、熱心に議論を行う姿が見受けられた。