Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2015年5月14日

第58回日本歯周病学会学術大会開催

「有病率8割に対する挑戦」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる5月14日(木)から16日(土)の3日間、幕張メッセ(千葉県)において、第58回日本歯周病学会学術大会(沼部幸博大会長、和泉雄一理事長)が「有病率8割に対する挑戦」をテーマに開催され、約2000名の参加者が訪れた。

 そのなかでも多くが詰めかけた16日(土)の歯科衛生士シンポジウム「歯周基本治療の威力」では、牧野 明氏(富山県開業)が「歯周基本治療で治る! 歯周基本治療で治す!」と題して講演。歯周基本治療がうまくいくポイントは、痛くないルートプレーニングと述べ、歯みがき指導をして炎症が引いてからルートプレーニングを開始すれば、痛みがなく、無麻酔で行うことができ、骨が平坦でなくても、長い上皮付着でも、状態を安定させることができる、と述べた。また、急性炎症時のエックス線像の骨吸収像にだまされないで、保存的な治療を選択することが大切、と指摘した。

 つぎに、長谷川嘉昭氏(東京都開業)は「歯周基本治療の戦略」と題して講演。氏は24年前に来院した患者に対して、歯周病が進行した右上7の遠心のSRPを完璧に行い保存することが難しいので抜歯、ほかの臼歯部も咬合を安定させるために、歯質を削除・抜髄して修復物を施し、骨をレベリングする介入を行った。一方、前歯は歯周病に罹患はしていたが大きな介入はせずにプラークコントロールのみ行った。現在、臼歯部・前歯部ともに経過はよいが、そうであるならば、臼歯部に歯質・歯髄にこれだけの犠牲を払って介入する必要はあったのか? 必要以上の介入は行ってはならないのである、と述べた。患者・患歯の病態(ボーンハウジングと罹患歯の状態)を分析し、必要以上のSRPをしない、といった「戦略的歯周治療」の実践が求められる、といくつかの症例をとおして述べて会場を沸かせた。