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2015年5月27日

第64回日本口腔衛生学会・総会開催

医療と介護の大改革に合わせ、地域における「歯科保健」について考える場が企画される

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 さる5月27日(水)から29日(金)の3日間、つくば国際会議場(茨城県)において、第64回日本口腔衛生学会・総会(那須郁夫学会長、神原正樹理事長)が開催され、約600名が参集し、盛会となった。本学会では3日間にわたり、メインシンポジウム、シンポジウム、特別講演、一般口演、国際セッション、日韓国際交流招待講演、ミニシンポジウム、市民公開講座、ポスター討論など多彩なプログラムが行われた。

 本学会では、昨年に医療介護総合確保推進法が成立し、今年に介護保険制度が改正されたことを受けて、地域における「歯科保健」がどのように位置づけられ、どのように推進されるべきか考える場として、メインシンポジウム「地域における「歯科保健」活動と地域包括ケア―医療と介護の狭間で「予防」をどう位置づけるか―」が企画された。当日の講演では、関係各方面の講師4名が招聘された。

 まず、高橋 健氏(常陸大宮市国民健康保険美和診療所所長兼歯科医長)が登壇した。氏は、地域包括ケアシステムをもじった「地域包括口腔ケアシステム」について提示したうえで、地域で多職種と連携して行っている事業について紹介した。次に、大石善也氏(千葉県開業)が最近歯科でも話題になっている「虚弱(Frailty)」について自身の追跡調査をふまえて解説。「口腔機能・栄養状態の低下が顕在化した局面よりも早期の段階から介入することが地域における歯科の役割である」と強調した。続いて、行政の立場から岩田真紀代氏(厚生労働省老健局老人保健課)が登壇。介護保険制度の改正を受けて行われる、平成27年度介護報酬改定の主旨として、特に施設等の入所者を対象に、「口から食べること」の支援に歯科職種を含めた多職種が今まで以上に介入し、充実させていくということが挙げられるとした。最後に、深井穫博氏(日本歯科医師会理事、8020推進財団専務理事)が日本歯科医師会などの取り組みについて触れたうえで、「超高齢社会における地域包括ケアシステムというと、高齢者・要介護者にのみ着目しすぎる傾向がある。そうではなく、乳幼児期・成人期を含め生涯にわたってかかわっていくライフコースアプローチが歯科保健には欠かせない」と締めくくった。

 なお、次期大会は2016年5月27日(金)から29日(日)に東京医科歯科大学(東京都)において、第12回アジア予防歯科学会と同時開催で行われる予定。