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2015年5月31日

日本歯科医学会、公開フォーラムを開催

「口から食育を考える―歯科における子どもの食の問題―」をテーマに

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 さる5月31日(日)、歯科医師会館において、日本歯科医学会(住友雅人会長)による公開フォーラム「口から食育を考える―歯科における子どもの食の問題―」が開催され、定員を大幅に超える約340名が参集して盛況となった。

 本公開フォーラムは、近年注目されている食の問題に対して多職種との連携の中で歯科専門職がどのようにかかわるかについて、平成26年に日本歯科医学会が行った「子どもたちの食の問題に関するアンケート調査」の結果と、そこから見えてきた課題について話し合われたもの。

 開会後、日本歯科医学会重点研究成果報告(全国の歯科医療機関と保護者の各1,000名を対象とした食の問題に関するアンケート調査)について、山崎要一常任理事(鹿児島大大学院医歯学総合研究科教授)、木本茂成氏(日本歯科医学会重点研究委員会副委員長、神歯大教授)、田村文誉氏(同委員会委員長、日歯大教授)より、重点研究の主旨ならびに調査結果の報告と解説がなされた。

 その中で、山崎常任理事は調査結果の総括として、子どもの食の問題について咀嚼を重要視する歯科医師と、食事の心配・困りごとなどの相談が多い保護者との間に認識の相違があることを指摘。保護者が求めている育児の辛さや悩みについてのサポートを歯科医療従事者がどこまでかかわれるのかが課題とした。その対応として、歯科医師の診療所だけではない地域の現場への積極的な参加と、市民公開フォーラムなどを通じた普及活動を推進するとともに、小児関連の学術団体が子どもの食の問題とその改善に関する情報を共有するネットワークの構築が必要とした。

 その後、医師の立場から児玉浩子氏(帝京平成大健康メディカル学部教授)による講演「子どもの食の問題に対して歯科に望むこと」、行政の立場から鳥山佳則氏(厚生労働省医政局歯科保健課長)による講演「子どもの食の問題に歯科がどのように関わるか」、臨床現場の立場から田村氏による講演「子どもの食の問題に対する歯科的アプローチ」がそれぞれ行われ、その中で児玉氏は、食育推進を成功させるためには保護者が混乱をきたさないような関係者による共通認識が大切とした。

 最後には、住友会長の座長のもと、これまで登壇した演者らによる総合討論会が行われた。会場からは、子どもの食の問題についてそれを疾患として捉えることや、食にかかわる栄養士や保育士に歯科に関する情報提供の場をつくること、診療報酬として評価されるための客観的な基準など、さまざまな意見が出された。また、子どもの食の問題に対して問題意識ならびに関心の高い様子がうかがえたことから、引き続き今回の研究の継続に賛同する意見が多数寄せられるなど、本公開フォーラムは盛会となった。