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2015年6月27日

第33回日本顎咬合学会学術大会・総会開催

「-新・顎咬合学-機能を表現する。機能を捉える。機能を発信する。-」をテーマに

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 さる6月27日(土)、28日(日)の両日、東京国際フォーラム(東京都)において、第33回日本顎咬合学会学術大会・総会(渡辺隆史大会長、理事長)が「-新・顎咬合学-機能を表現する。機能を捉える。機能を発信する。-」をテーマに開催され、5,018名が参集した。本大会では2日間にわたり、特別講演、テーブルクリニック、ランチョンセミナー、ポスター発表など、多数のプログラムが組まれ、学会が基本方針に掲げる「歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士の三位一体の学会」のように、すべての歯科医療従事者が参加できる内容となっていた。

 初日の開会式で渡辺理事長は「歯科医師とは勉強を続けることがいちばん患者さんのためになる。本学術大会を通じて歯科のあらゆるテーマを勉強してほしい」と述べた。

 続いてDr. Joan Otomo-Corgel(米国歯周病学会〔以下、AAP〕会長)による特別講演「Consensus on Periodontal Regeneration - Osseous and Soft Tissue」が行われた。約60名の専門歯科医師らが参加したAAP歯周組織再生ワークショップの内容を中心に講演。そのなかで、(1)根面被膜のための軟組織移植術(2)組織厚増大のための軟組織移植術(3)歯根分岐部欠損のための歯周組織再生(4)骨縁下欠損のための歯周組織再生(5)明らかになる歯周再建のための再生アプローチ--以上5つのトピックスをワークショップの知見を裏づける臨床症例を供覧しながら詳説した。氏は「われわれ歯科医師は、自身の技術や手技に注目しがちだが、本来は患者さんの満足度を基準に治療方針を決定すべきである」と述べ、講演を締めくくった。

 午後からは、公開フォーラム「噛める人はなぜ死ぬまで健康で長生きできるのか?」が開催され、岩崎貢士氏(日本顎咬合学会常任理事)の座長のもと、河原英雄氏(福岡県開業)、鈴木宏樹氏(福岡県勤務)、黒岩恭子氏(神奈川県開業)、栗原正紀氏(長崎リハビリテーション病院理事長、院長)がそれぞれ登壇。そのなかで医師の栗原氏は、団塊の世代が75歳以上になる2025年問題を見据え、地域包括ケアの早期構築の必要性を訴えた。そのためには、自助、互助、共助、公助が大切であり、機能分化と各種専門分野による連携による多職種のチーム医療が必須とした。また「口を大切にすることは人間の尊厳を守ることである」として、超高齢社会における歯科の果たす役割の大きさを強調した。

 大会テーマにも掲げられていたように、今回は「口腔機能」にスポットをあてたプログラムが散見され、歯科医療従事者それぞれの立場で乳幼児から高齢期まで時間軸で患者さんの口腔を診ていくことの重要性が発信された2日間となっていた。

 なお、次回学術大会は2016年6月11日(土)、12日(日)の両日、東京国際フォーラムを会場に、上濱 正大会長(次期理事長、茨城県開業)のもと、「新・顎咬合学が創る健口長寿」をテーマに開催予定。