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2015年7月18日

特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会第33回年次大会開催

「みちのくペリオ―再生への道―」をテーマに盛会となる

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 さる7月18日(土)、19日(日)の両日、仙台国際センター(宮城県)において、特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会第33回年次大会(江澤庸博大会長、二階堂雅彦理事長)が「みちのくペリオ―再生への道―」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士ら1,263名が参集し盛会となった。

 当初、東北支部主管での年次大会は2011年7月に予定されていた。しかし同年3月11日の東日本大震災により破損した会場の復旧のめどが立たず、また多くの会員が身元確認活動に従事していたため中止を余儀なくされ、4年越しの今年、東北支部会員にとって念願の開催が実現した。開会式では、二階堂理事長、江澤大会長がそれぞれ登壇。大会テーマの「みちのくペリオ―再生への道―」には、被災した東北の再生、そして本学会の本分たる歯周組織再生の2つの意味が込められているとしたうえで、両者の「完全なる再生」に向けた本大会にかける想いを語った。
 
 本大会では2日間にわたり、歯科医師セッション、歯科衛生士セッションが2会場に分かれて、多数のプログラムが組まれた。初日前半の歯科医師ケースプレゼンテーションでは、各支部選出の演者らが、歯周組織再生療法の役割や可能性について自身の臨床例とともに発表。その後、別会場で行われたポスター発表も大変な賑わいをみせていた。

 午後の歯科医師教育講演では、齋藤正寛氏(東北大教授)、江草 宏氏(東北大教授)がそれぞれ講演。なかでも江草氏は、近年話題となっている人工多能性幹細胞(iPS細胞)についてわかりやすく解説したうえで、氏らが研究を進めている歯肉由来iPS細胞の歯科医療への応用の可能性と今後の展開について触れ、参加者の注目を集めた。

 歯科医師基調講演では、ともにベストセラーの著書をもつ佐藤直志氏と江澤氏がそれぞれ登壇。佐藤氏は、歯周組織再生療法の成功の前提は歯肉縁下の炎症を十分にコントロールすること、すなわち徹底したデブライドメントであり、従来からのフラップキュレッタージの重要性について長期症例を提示しながら解説した。江澤氏は、歯の標本など多くの資料を提示しながら、再生療法を成功に導くためには歯周組織や各歯根形態などの解剖学的特徴を把握することが大切とした。
 
 2日目の歯科医師セッションでは、特別企画「未来へ繋がる再生治療―天然歯とインプラントのハイブリッド治療―」が行われ、夏堀礼二氏(青森県開業)、長谷川嘉昭氏(東京都開業)、中田光太郎氏(京都府開業)、浦野 智氏(大阪府開業)、水上哲也氏(福岡県開業)ら第一線で活躍する臨床家がそれぞれ登壇。各演者の示唆に富んだ講演に参加者は熱心に聞き入っていた。また、別会場で行われた歯科衛生士セッションも終始熱気に包まれていた。

 なお、次回の第34回年次大会は、2016年7月9日(土)、10日(日)の両日、アクロス福岡(福岡県)において、木村英隆大会長のもと開催予定。