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2015年9月5日

第3回日本病巣疾患研究会総会開催

医科・歯科の垣根を超えた取り組みが多数紹介される

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 さる9月5日(土)、6日(日)の両日、日本歯科大学生命歯学部九段ホール(東京都)において、第3回日本病巣疾患研究会総会(堀田 修会長)が開催された。当日は、医科・歯科医療者ら165名が参集した。

 本研究会は、病巣感染に着目し、「患者の全体を俯瞰しながら部分を診る(木を見て森も見る)医療」のスローガンを掲げて2013年に設立され、今回が第3回目の総会であった。これからの医療は、医科と歯科という学部、専門分野の垣根を越えた交わりをしていかなければ、立ちゆかなくなってしまう状況にもなりつつある。目の前の患者に対症治療ではなく、根本治療を行うためには、医師と歯科医師が一丸となって病気に立ち向かうことが必要であり、本研究会ではそうした医科歯科連携を目指している。

 1日目は、特別講演として、永野千代子氏(仙台赤十字病院小児科部長)が「病巣炎症治療をとりいれた小児腎臓病の根本治療」、落合邦康氏(日大歯学部細菌学講座教授)が「口腔感染と全身疾患:医科歯科連携のセンターピン理論」と題してそれぞれ講演した。

 2日目は、堀田会長(腎臓内科医、宮城県開業)による教育講演「子宮頚がんワクチン副反応と上咽頭処置」が行われた。氏は、子宮頚がんワクチン(HPVワクチン)の副作用に慢性上咽頭炎でもみられる症状がいくつか含まれていることから、ワクチンと上咽頭炎が関連しているという仮定を提示。今回は、その仮定をもとに、ワクチンの副作用を発症した患者に上咽頭処置を行った結果、著明な改善が認められた症例も提示した。

 最後に、医科歯科連携に関する座談会が行われた。顎関節症やインプラント手術後にみられた疼痛などに対し、耳鼻咽喉科医と歯科医が連携し対応した症例の発表がなされたあと、登壇者である医科・歯科医療者による意見交換がなされた。その中で、米山武義氏(静岡県開業)が「歯科にとって、耳鼻咽喉科は近いがゆえになかなか連携が難しい存在であった。しかし、こうした連携によって救われる患者がいるならば、われわれはもっと歩み寄らなければいけない」と発言し、多くの賛同を集めた。

 この他、医科・歯科それぞれの会員発表も行われ、会場は終始熱気に包まれていた。