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2008年11月14日

第21回日本歯科医学会総会盛大に開催

約13,000名が3日間を満喫

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 さる11月14日(金)から16日(日)の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県)にて第21回日本歯科医学会総会(日本歯科医師会・日本歯科医学会主催、大塚吉兵衛会頭)が開催された。「めざせ!健・口・美―未来に向けた歯科医療―」のテーマのもと、総会講演(10題)とシンポジウム(16題)、国際セッション、歯科技工士セッション、歯科衛生士セッション、テーブルクリニック(62題)とポスターセッション(410 題)、ランチョンセミナー、公開フォーラムなど、数多くの講演が開催された。
 14日(金)には開会に先立ち、3題の総会講演、歯科技工士セッション、国際セッション講演が開催された。なかでも、国際セッション講演「米国歯科医師会が目指すもの―ADAの構想と課題、そして2010年までのゴール(Mark J. Feldman 、ADA会長)」が注目を集めた。氏は米国の歯科医療の最大課題を「歯科に対するアクセスの危機」とし、6,000万人が最低限の歯科医療を受けられていないとした。そのうえで、(1)誰が歯科医療費を払うのか・受けられない人はどうするか、(2)米国の医療改革における歯科医療へ影響、(3)将来の歯科患者はどうなるのか、の3つにわけて解説。政府がてがけるmedicaid プログラムの行き詰まりと個々に対応できる民間保険の利点を示した。また、「歯科に対するアクセスの危機」への対応法としてはmedicaidの償還率をあげるべき等とした。
 その後、国立大ホールにて開会式が行われ、大塚吉兵衛会頭は式辞のなかで、「歯科医療担当者と国民が一体となって『健・口・美』の達成を目指し、その目標に向けて歯科界と"産官学"が協調して、未来に向けた歯科医療の充実と新たな歯科医療の開発への緒につく場と捉えている」とし、時代を見据えた歯科医療の必要性を語った。その後、主催者を代表して江藤一洋氏(日本歯科医学会会長)、大久保満男氏(日本歯科医師会会長)が挨拶を行い、松沢成文氏(神奈川県知事)をはじめとする来賓らの祝辞が華を添えた。
 15日(土)の開会講演では、星野仙一氏(阪神タイガースオーナー付シニアディレクター)と大久保氏が登壇。星野氏は、スポーツ投手の噛み合わせの重要性と、みずからの野球観および人生観を熱心に語り、会場を沸かせた。大久保氏は、国民に信頼される歯科医療の実現のために、近年の歯科医療に関するさまざまな調査・研究のデータを歯科医療政策に反映していく必要性を述べた。
 各会場では豊富な演題が催されるなか、午前の部の平井敏博氏(北海道医療大教授)をモデレーターに行われたシンポジウム「睡眠時無呼吸症候群患者への歯科的対応」では、スリープスプリントによる治療についてディスカッションがなされ、どのくらいの効果があるのかなど、数値的なガイドラインがないまま適用されている現状に警鐘を鳴らし、アプライアンスの効果を関連学会主導で早急に研究を始めるべきとの見解が示された。
 16日(日)の午前の部、川添尭彬氏(大歯大教授)、小宮山彌太郎氏(東京都開業)をモデレーターに行われたシンポジウム「インプラント治療の最前線」では、小宮山氏、菅井敏郎氏(東京都開業)、萩原芳幸氏(日大准教授)がそれぞれ講演。なかでも小宮山氏は、昨今の安易なインプラント治療に対し警鐘を鳴らし、「医療者としての誇りを忘れてはならない」と述べた。また、師でありインプラントの創始者であるブローネマルク教授がシンポジウムの参加者に宛てたメッセージも紹介。1,000名収容のホールは立ち見がでるほどの盛況ぶりであった。
 午後には、公開フォーラム「歯は生涯の宝―楽しく食べて生き活きと―」が開催され、堂本睦子氏(千葉県知事)による特別講演、森本俊文氏(松歯大学長)による基調講演、お笑い芸人ら(ともに吉本興業)によるアトラクションも行われ、年代を問わず参加者が楽しめる構成となっていた。
 4年に一度となる日本最大の学術大会は、歯科関係者だけでなく一般市民にとっても、最新の歯科医療の研究成果を体験できる3日間となった。