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2015年12月5日

(一社)日本臨床歯科CADCAM学会 第2回学術大会開催

全国各地から約200名が参集

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 さる12月5日(土)、6日(日)の2日間、富士ソフトアキバホール(東京都)において、(一社)日本臨床歯科CADCAM学会 第2回学術大会(下田孝義大会長、草間幸夫会長)が開催され、全国各地から約200名が参集した。本大会を主催した日本臨床歯科CADCAM学会(以下、JSCCD)は、かつて「JSCAD(Japanese Society of Computer Aided Dentistry)」と称していたスタディーグループが2014年に改組・学会化したもの。「ISCD(International Society of Computerized Dentistry、Klaus Wiedhahn会長)」の日本支部として、主にCERECシステム(Sirona Dental Systems GmbH,シロナデンタルシステムズ)を用いたコンピューターデンティストリーの研究および実践、そしてクリニカルコースの開催・運営などを行っている。

 会場ではまず、草間氏が開会の辞を述べたあと、「会員発表」として全国各地のJSCCD支部から参集した13名の歯科医師が次々に登壇。1名あたり8分あまりという非常に短い時間の中、それぞれの演者がCERECシステムを用いた臨床への取り組みを思い思いに示していた。

 続いて、最初の教育講演として中村昇司氏(東京都開業)が「チェアサイド型歯科用CAD/CAMシステムを用いたノンメタル修復」と題して登壇。長期予後を得るためには接着の手技とマテリアルセレクションが重要という趣旨のもと、各種装着材料の取り扱いやブロックの選択法などについて長期症例を示しつつ述べた。

 また、同日夕刻から開始された2本目の教育講演では宮崎真至氏(日大歯学部保存学教室修復学講座)が「レジンセメントは何を使うのか ―最新のトレンドとその諸性質について」と題して登壇。接着性レジンセメントにまつわる歴史にはじまり、被着面への処理やプライマーの選択などについて実践的な内容を示した。

 続く2日目はまず、井畑信彦氏(東京都開業)が「チェアサイドオーラルスキャナー2015」と題して登壇。現在日本国内で入手できる口腔内スキャナーの概要に加え、日本国内未導入の「iTero element」(Align technology)といった装置の紹介や、それぞれにかかるコストを示した上で、自分にとって最適な口腔内スキャナー選びのポイントについて示した。

 続いて会場では、Dr. Bernd Reiss(ドイツ開業)が「Thinking about longterm predictability of CAD/CAM ceramics」と題して登壇。冒頭、CERECシステムを用いて修復し23年が経過した症例を示した上で、これまでに氏が行ってきた長期経過観察の結果を披露。その上で、「つねに考えるべきは、より安全な側につくこと。歯科医師は患者と同じ船に乗っているわけで、患者だけが放り出されることのないようにしなければならない」と締めくくった。

 そして引き続き、伴 清治氏(愛院大歯学部歯科理工学講座)が「歯科修復用CAD/CAMセラミックスの耐久性」と題して登壇。従来から存在した、正方晶のジルコニアのみで構成された高透光性ジルコニアを「高透光性TZP(Tetragonal Zirconia Polycrystal)」、そして最近になり歯科用への応用が進んでいる、さらに高透光性のジルコニアを「高透光性PSZ(Partially Stabilized Zirconia)」と定義した上で、その特徴について主に述べた。高透光性PSZは、従来のTZPよりも強度が半分程度になるために約2倍の厚みが必要となるが、その配合から低温劣化をほとんど生じず、なおかつ高い自然感が得られる材料としてたいへん有望であるとした。また、研磨が不十分なジルコニアが対合歯に与える深刻な影響についても繰り返し述べ、警鐘を鳴らしていた。

 そして最後に、Dr. Andreas Bindl(チューリッヒ大)が登壇。こちらもDr. Reissと同様にCERECを用いた長期症例にターゲットを絞り、VITABloc Mk2の18年間調査、e. max CADの9年間調査、そしてe.maxを用いたe.max CAD Abutment Solutionsの4年間調査についてそれぞれ示した。

 その他、会場では2日間にわたりさまざまな企業セミナーや商品展示、そして冒頭で述べたISCDのトレーナーを養成するコースも併催されており、終始活況となっていた。