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2015年12月13日

「あすなろ王国物語―う蝕のありえない社会実現へ向けて!」開催

子どもたち自らのう蝕予防行動をうながすシステムを紹介

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 さる12月13日(日)、UDXカンファレンス(東京都)において、「あすなろ王国物語―う蝕のありえない社会実現へ向けて!」(株式会社モリタ主催、森田晴夫代表取締役社長)が開催された。当日は定員を超える110名の参加者が詰めかけた。

 本会は、従来のカリオロジーとは異なる発想からつくられた独自の小児う蝕予防システム「あすなろメソッド」を実践している佐野正之氏(富山県開業)とあすなろ小児歯科医院スタッフを講師に迎えたセミナーで、2015年はすでに浜松、福岡、大阪の3都市にて開催、今回の東京会場が本年の締めくくりの会であった。セミナー名の「あすなろ王国物語」とは、同院が患者さんである子どもたちと共有している世界観であり、この物語中のプラーク大王とその手下のミュータンスをやっつけるために子どもたちが自らう蝕予防行動を起こしていくというストーリーとなっている。

 まず午前中は、佐野正之氏が、世界各地の大学や歯科医療施設への訪問・見学、そこでの人々との出会いによって自身が小児う蝕予防の道へ至った過程を振り返りながら、世界の子どもたちのためのう蝕予防プログラムの構築が必要であると力説。また、プログラム作成に必要な7つの項目、さらに具体的なプログラムのポイントとして、早期介入・積極的介入・継続的介入の3つを挙げ、それぞれについて解説した。

 午後は、尾島弥生氏(歯科衛生士・あすなろ小児歯科医院)ほか同院スタッフが登壇し、それぞれの立場からの取り組みを紹介した。続いて佐野哲文氏(あすなろ小児歯科医院)が、「究極の予防処置を求めて」と題し、最近同院が取り入れた、歯科用顕微鏡を用いたマイクロシーラントについて紹介。それまでカリエスフリーを保てていたのにもかかわらずう蝕が発生しがちな思春期の子どもたち(12~18歳)へのう蝕予防対策の1つとして、マイクロシーラントを導入したところ、手ごたえを感じているとのこと。従来の「削る医療」から「護る・育てる医療」への転換を訴えた。

 最後に、ふたたび佐野正之氏が登壇し、あすなろメソッドの実践編として、子どもの年齢に応じて同院が行っている行動科学や心理学を用いたう蝕予防処置を詳説。結びの言葉として佐野氏は、明確なフィロソフィーをスタッフ全員で共有することと、シンプルなシステムの確立が「あすなろメソッド」を実践するにあたり大切であるとし、0~18歳まで子どもの成長を見続けられるのは小児歯科だけであり、う蝕のないことがあたりまえの世の中をつくっていくために歯科界全体で考えていくことが必要であると強く訴えた。