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2016年2月20日

公開シンポジウム「これからの歯科医療を見据えた人材育成の在り方について」開催

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 さる2月20日(土)、昭和大学旗の台キャンパス(東京都)において、公開シンポジウム「これからの歯科医療を見据えた人材育成の在り方について」(日本学術会議歯学委員会、日本歯学系学会協議会主催、日本歯科医学会後援)が開催され、歯科教育関係者約70名が参加した。

 古谷野 潔氏(九大大学院教授)と宮崎 隆氏(昭和大教授)の開会挨拶の後、元厚生労働事務次官の辻 哲夫氏(東大高齢社会総合研究機構特任教授)が登壇。「超高齢社会への日本の対応と歯科医療の在り方について」と題し、75歳以上の人口が激増する社会に向け、地域包括ケアシステムや多職種連携を通じて在宅医療を推進する重要性を述べた。人々が最期まで「生活者」として自分の地域で暮らせるように、歯科が「食べることを支える」意義が再確認された。

 次に、平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター研究所社会科学系専門副部長)が「認知症と歯科医療戦略:新オレンジプランから考える未来」の演題で講演。いまや予備軍も含めて800万人を超えるとされる認知症について、病態や症状などに触れながらアルツハイマー型認知症を中心に解説した。平野氏は、認知症の進行度に応じた対応が歯科において不十分な現状をふまえ、認知症について学ぶための映像教材を作成中であり、そのサンプルが会場で披露された。

 その後、木内祐二氏(昭和大教授)が、「体系的、段階的なチーム医療教育の取り組みと歯学教育への期待」と題して、昭和大の取り組みを発表。同大では、他職種とのチーム医療を身に着けさせるため、医・歯・薬・保健医療学部合同のカリキュラムが実施されている。学年が上がるごとに、シミュレーション授業、病棟実習、地域での実習を、学部を横断した学生たちがチームで行っていく。

 最後には、森戸光彦氏(鶴見大名誉教授)が登壇。「連携医療の場で全身疾患への対応や栄養管理のできる歯科医師の養成」という演題のもと、訪問診療ができる歯科医師の育成が急務であることを述べ、そのためには、まずは教える側である教育者が、訪問診療を体験してほしいと力説した。

 講演終了後のディスカッションでは、座長の羽村 章氏(日歯大教授)の進行のもと、演者4名が歯科教育に関するそれぞれの所見を述べ、超高齢社会に対応した教育が卒前・卒後ともに求められていることが確認された。