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2007年12月6日

名古屋大学医学部 「乳歯幹細胞研究バンク」設立記者会見および内覧会を開催

骨髄バンク、臍帯血バンクにかわる新たな細胞バンクとして期待高まる

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 さる12月6日(木)、名大学医学部(★口道成医学部長[★=浜の異体字])にて「乳歯幹細胞バンク」設立記者会見および内覧会(名大大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座主催、上田 実教授)が開催された。
 上田氏らは、再生医療に重要な役割を果たすといわれる「幹細胞」が乳歯の歯髄に含まれることに着目し、研究を目的としたバンクを設立。
 会見のなかで、上田氏は乳歯幹細胞の有用性について触れ、「既存の幹細胞ソースとの違いは幹細胞密度である。骨髄が1とするならば乳歯は20である。この結果が増幅能の差となる」と説明し、さらに「乳歯は6歳から10歳までに自然脱落し医療廃棄物として処理されるため、再生医療の資源として有効活用ができる。さらに研究を重ねることによって、今後は骨や軟骨、皮膚、歯周組織などへの再生医療を行っていきたい」と述べた。
 引き続き、山田陽一氏(名大医学部附属病院遺伝子再生医療センター)より乳歯幹細胞の特長が説明された。内容は以下の通り。
(1)細胞の増殖能が高い(培養によって増殖が可能)
(2)細胞の分化能が高い(骨、軟骨、神経、血管などの元になる細胞が含まれている)
(3)同種移植への可能性(世代間を超えた移植が可能)
(4)採取が簡単(乳歯は6~10歳のころ自然に脱落する)
 今後は、将来の臨床応用を目指し基礎データを蓄積し、来る2008年3月に開催される日本再生医療学会で研究結果を発表したうえで、人への臨床応用を目指すとのこと。今後の再生医療に重要な役割を果たすものとして期待される。