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2016年7月10日

TDC Academia 2016臨床セミナー、下地 勲氏が丸1日講演

「明日からの臨床に活かせる歯の移植・再植」をテーマに

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 さる7月10日(日)、東京歯科大学水道橋校舎(東京都)において、TDC Academia 2016臨床セミナー(東京歯科大学同窓会主催)が開催され、「明日からの臨床に活かせる歯の移植・再植」をテーマに、この領域の第一人者のひとりである下地 勲氏(東京都開業)が講師に招聘され、丸1日じっくり講演した。

 今回の講演項目は「歯が簡単に抜かれている!」、「どのような症例からスタートし、レベルアップするか?」、「インプラントに対する利点と使い分け」、「どうしても必要な基礎の知識(歯根膜を知る)」。午前と午後に時間外も含めて質疑応答の時間も設けられた。下地氏の臨床はコンサバティブで確実なことで知られているが、冒頭から歯の保存について、参加若手臨床家に対して警鐘を鳴らし、「安易な抜歯とインプラント適応が残念」と戒めた。自身の基準は残存歯根量8mm(連結)、10mm(単独)で20年もたせるとのこと。また、本題の移植・再植では、意図的再植→外科的挺出→歯根未完成歯の移植→抜歯窩への直後移植→治癒期の抜歯窩への移植→無歯顎堤への移植といったように、難易度順に若手臨床家にわかりやすく、整理された内容であった。さらに、インプラント治療にも言及し、欠損補綴治療においても、天然歯の保存を第一に考えているため、まず安易な抜髄は避けたいとのことから、適応部位は下顎の片側遊離端欠損がほとんど(つぎに1歯欠損)とのこと。移植・再植にかかわらず、基礎的な知識が不可欠としたうえで、とくに歯根膜の発生、再生機能、恒常性機能、感覚機能についても解説された。

 臨床例が豊富で示唆に富む内容が盛りだくさん、ほとんどの参加者が熱心にメモをとる姿が印象的なセミナーであった。