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2016年7月9日

特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 第34回年次大会開催

「歯周治療 成功の鍵―再生療法 Step by Step―」をテーマに

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 さる7月9日(土)、10日(日)の両日、アクロス福岡(福岡県)において、日本臨床歯周病学会 第34回年次大会(木村英隆大会長、二階堂雅彦理事長)が「歯周治療 成功の鍵―再生療法 Step by Step―」をテーマに開催され、歯科医師・歯科衛生士ら2,270名が会場を訪れた。

 1日目は歯科医師向け・歯科衛生士向けの会場が別々に設けられ、午前中にはそれぞれケースプレゼンテーションが行われた。いずれの発表も同学会のレベルの高さを実感できるもので、聴衆は熱心に聞き入っていた。

 また午後には本大会の目玉となる、Anton Sculean氏(スイス・ベルン大教授)による特別講演「Clinical concepts and new developments in regenerative and plastic esthetic periodontal surgery」が3時間45分にわたり行われた。まず歯周治療で抜去適応されるのはどういう歯か論文で整理したあと、自身のチームで研究された、再生療法におけるマテリアルの選択や採骨技術の、骨の再生に対する影響について述べた。さらに、歯肉退縮に対する根面被覆術であるmodified coronally advanced tunnel(MCAT)テクニックや、インプラント周囲炎に対する治療法として光線力学療法(photodinamic therapy:PDT)を紹介するなど、臨床に即したさまざまな知見を披露した。

 このほかにTAP姉妹提携10周年記念講演として台湾歯周病学会から葉 惠津氏(Hwey-Chin Yeh、林口長庚紀念醫院)、AAP会長講演としてWayne A. Aldredge氏がそれぞれ登壇し、国際色豊かなプログラムとなった。また、14題設けられた歯科衛生士テーブルクリニックは立ち見が出るほどのにぎわいぶりとなった。

 2日目は歯科医師・歯科衛生士シンポジウム「基本手技から見直そう!」と題して鈴川雅彦氏(広島県開業)、瀧野裕行氏(京都府開業)、白石和仁氏(福岡県開業)の講演が行われた。会場は満席となり、会員らの関心の高さがうかがえた。
 

 鈴川氏は「歯周組織再生治療のstep by step〔基礎編〕」と題して、さまざまな基礎研究から、直接目に見えない歯周組織再生がどのように行われるかやバイオマテリアルの検討について、また今後の治療法として細胞治療に期待を寄せていることなどを述べた。

 瀧野氏は、まずシンポジウムの主旨に合わせ、チーム医療は「それぞれの専門性を尊重しあい、自分自身がリーダーであると考えて職務にあたる」こととしたあと、「組織再生のための歯肉マネージメントを再考する」と題し、歯間乳頭部の切開や口蓋からの結合組織の採取、根面被覆術などの動画を供覧しながら、実際の手技について解説した。

 最後に白石氏は「再生療法を成功に導く鍵」と題し、定石の方法を採って結果が良好となる場合とそうでない場合があるのはなぜか、という疑問から取り組んだ自身の臨床を供覧しながら、エビデンスの知識と基本技術を獲得し、歯周治療におけるラーニングステージを上る順序を守りつつも歯の保存を第一優先の目的としたチャレンジングな再生治療をしていくべきと結んだ。

 なお、次回の年次大会は2017年6月24日(土)、25日(日)の両日、大阪府立国際会議場(大阪府)において、山野総一郎大会長のもと「Save tooth, Save implants!―歯周病患者におけるインプラント治療―」をテーマに開催予定となっている。