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2016年7月31日

平成28年熊本地震歯科支援中間報告会開催

支援活動を通して見えた成果や課題について報告・提言がなされる

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 さる7月31日(日)、東京医科歯科大学(東京都)において、平成28年熊本地震歯科支援中間報告会(日本災害時公衆衛生歯科研究会主催)が開催され、約50名の参加者を集めて開催された。

 主催者を代表して中久木康一氏(医歯大)が開会の言葉を述べた後、佐藤 保氏(日本歯科医師会副会長)が挨拶。今回の熊本地震では、日本医師会災害医療チーム(JMAT)から初めて歯科が派遣されたことや、被災地における歯科診療所稼働状況がホームページで確認できるようになったことなどを紹介。それらの活動では、他県が情報の発信や更新業務を担うなど、協力的な活動が実行できた点を評価した。

 次に、楠田美佳氏(熊本県歯科衛生士会)が「熊本県における歯科支援活動の対応と実態」と題して登壇。楠田氏は、南阿蘇村での歯科支援活動は、地元の歯科医師が当初から活動に参加したことによって、医療チーム撤退時のスムーズな引継ぎができたことなど、今後の参考になる点について述べた。また、地震発生から3か月以上が経過したなかでの支援活動を通して見えてきた課題について、(1)平常時の地域関係機関・関係者との連携、(2)県・市町村行政における災害時歯科保健医療対策の明確な位置づけ(発生直後から復興期まで)、(3)歯科保健医療関係者の災害時対応スキルの向上、(4)マニュアルの整備(組織体制、活動内容、様式等)――とわかりやすくまとめた。

 引き続き、門井謙典氏(兵庫医科大)が「JMAT(日本医師会災害医療チーム)としての歯科派遣の経験」と題し、JMATチームとして4月24日の現地入りから5月14日の撤退までに行った活動概要と問題点について報告。今回兵庫県医師会は、歯科を含むJMATを益城町に派遣し、初めて現場の統括JMATを担当した。門井氏は、所属や出向元が異なることによる混乱や、現場でのバッティングなどの問題もあったことについて触れ、今後JMATに窓口を設けることや、他団体との連携強化の必要性を訴えた。

 最後に、日本歯科医師会災害歯科コーディネーターとして、現地の支援活動にかかわっている中久木氏より、「災害時の歯科支援における熊本地震対応の特徴と成果、そして課題」と題する講演が行われた。今回の、熊本地震対応の特徴として、本震後1週間で外部からの派遣があったことや、現場での栄養士など他職種との連携、地元歯科ボランティアとの連携が挙げられた。一方、課題としては、歯科支援活動県の災害対策本部との情報共有や連携の必要性、要援護者のアセスメント票の作成、アセスメントから継続介入への引き継ぎ、JMAT以外の医療班やNPO団体に帯同する歯科との情報共有が指摘され、連携や情報共有をより活発に行うための仕組みづくりが求められていることが確認された。