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2016年10月2日

日本小児歯科学会関東地方会 第31回大会・総会開催

五感教育、食育、自閉症――幅広い分野の専門家が講演

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 さる10月2日(日)、コラニー文化ホール(山梨県)において、日本小児歯科学会関東地方会 第31回大会・総会(岩下 智大会長、藤岡万里準備委員長)が開かれ、日本小児歯科学会員を中心に600名以上が参集し、活況を呈した。

 本会では、「子どもたちに生き甲斐を、子育てにやり甲斐を」をメインテーマに、五感教育や食育、外傷歯や小児口腔がんなどの専門家が講演。硬軟織り交ぜた内容に、ベストセラー作家を招いた市民公開講座もくわえて、来場者を引き付ける工夫がなされていた。

 午前の部では、まず、「生き甲斐は、五感で入力されたおいしさから始まる―甲府発味覚(五感)教育のすすめ―」と題して、武井啓一氏(医歯大臨床教授、甲府市歯科医師会会長)が登壇。子どものころからの食体験が成人の食行動の基本にあるとして、「しっかり噛んで、おいしく味わって、楽しく食べる食べ方」を教える教育が歯科に求められていることを、甲府市歯科医師会の味覚教育を例に説明した。

 続いて、「子どもが育つ、子どもと育つ―食事を通して育むこと―」の題で向井美惠氏(昭和大名誉教授)が講演。武井氏の発表をふまえながら、子どもが多様な食物を"安全に"味わって食べる機能を獲得するために、小児歯科における食育に必要とされる考え方や、氏が理想とする多職種連携の在り方が述べられた。

 午後の部では、臨床講演が2題行われ、まず「これで安心、外傷への対応」を演題に宮新美智世氏(医歯大大学院医歯学総合研究科准教授)が登壇。術後の経過管理が重要な外傷歯について、日・月・年単位での治癒・治療のポイントをカレンダー式に整理して発表した。

 その次には「小児口腔腫瘍の臨床診断と治療」の題で河奈裕正氏(慶應義塾大医学部准教授)が講演。悪性腫瘍の診断と専門機関への連携について、豊富な実例写真を交えて解説した。

 歯科医療者向けの講演と併催された市民公開講座では、世界的ベストセラー『自閉症の僕が跳びはねる理由』の著者、東田直樹氏が登壇し、100名を超す一般市民が列を成した。「自閉症の僕の七転び八起き」を演題に、重度の自閉症でありながら著述家として活躍する氏が、自閉症者の内面と葛藤、支えてくれる人々への感謝、そしていまの自分だからこそ見えてくる世界について切々と語る姿に、聴衆は心打たれたようすだった。その後は、氏の母親である東田美紀氏が登壇し、「我が子の可能性を信じる子育て」と題した講演で、コミュニケーションを模索しながら、これまで直樹氏を支えてきた軌跡を振り返った。